春の高校野球の季節を告げる3月に突入した。2025年春の第97回選抜高校野球大会(センバツ)は7日の抽選会を経て、18日に阪神甲子園球場(兵庫・西宮市)で開幕。いよいよ「春本番」がやってくる。

 各県の優勝チームが甲子園に集結する夏と違い、センバツでは昨年秋の地区大会を参考資料として「選出」された高校で争われる。地区によっては決勝、4強に進出すれば、有力とされることが多いが、それ以下の成績で、いわゆるボーダーライン上から選ばれた学校は、例年5校以上はある。ここ5大会でその「ボーダーライン」で選ばれた高校も大奮闘している。

 例年、関東・東京地区では6校目以降の選出が注目されるが、その6校目で2021年に出場した東海大相模(神奈川)は、石田 隼都投手(現・巨人育成)を擁して、見事に優勝を果たした。前年の秋の関東大会の準々決勝で、勝てばセンバツが「当確」となるなか、9回表まで1対0とリードしながら、9回裏に東海大甲府(山梨)に逆転サヨナラ負け。屈辱で終わった秋のリベンジを誓ったナインが、関東&東京の「最後の枠」で選出されたセンバツで、優勝を飾るドラマを演じた。

 昨年のセンバツでは、中央学院(千葉)が4強入りの快進撃を見せたのは記憶に新しい。

 例年6枠が基本の近畿では、秋季大会で4強に入った高校は選出が有力だが、残る2校が「ボーダーライン」から選出されている。昨年のセンバツでは前年近畿大会で8強に終わった報徳学園(兵庫)が選出され、見事に準優勝した。秋準々決勝で敗れた相手・大阪桐蔭(大阪)と準々決勝で再戦し、リベンジを果たすドラマもあった。

 2022年には、出場が決まっていた京都国際(京都)が、コロナの影響で大会直前で出場を辞退。前年秋の近畿大会8強で「補欠校」だった近江(滋賀)が、急遽「繰り上がり」出場となり準優勝。山田 陽翔投手(現西武)が投打にわたる活躍を演じた。

 一方、厳しい現状もある。ここ5大会でボーダーラインで選出された29チーム中、16チームが初戦敗退。約半分は初戦で大会を去っている。

 今年は東北で花巻東(岩手)、関東・東京で山梨学院(山梨)と早稲田実(東京)、東海で至学館(愛知)、近畿で滋賀学園滋賀短大付(ともに滋賀)が「ボーダーライン」から選出された。この6チームの奮闘に期待したい。

過去5大会、ボーダーからの選出校とセンバツ成績

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