薩摩おいどんリーグの応援団長で元プロ野球選手の里崎智也さんの講演が3月1日、鹿児島市の城山ホテル鹿児島であった。

 里崎さんは1976年、徳島県生まれ。鳴門工から帝京大に進学。98年のドラフト2位でロッテに入団した。勝負強い打撃と高い盗塁阻止率と堅実な捕球術が持ち味の捕手として活躍し、05年、10年の日本一に貢献した。また06年のWBCでは日本代表の正捕手として、世界一の経験もある。引退後は野球評論家や登録者82万人超えのYouTuberとしても活躍している。

 今回は「エリートじゃなくてもトップに立てる思考術」と題して講演し、リーグに参加している選手たちや、一般応募で申し込んだ人ら約200人が参加した。

 今回のおいどんリーグのテーマは「あこがれ」。参加する選手たちが「子供たちや多くの人たちから憧れられる存在になって欲しい」(小薗健一実行委員長)と今回の講演が実現した。

 「私の話はソファーで寝そべって聞くのが一番ですよ」と開口一番で笑いを誘った里崎さん。自身のこれまでの人生を振り返り「その選択のひとつ、ふたつ先にあるものを考えて選んで欲しい」と「選択」の大事さを強調していた。

 鳴門工から首都大学リーグの帝京大への進学は「高校の監督さんが選んでくれた進路だった」。徳島からは近い関西圏の大学に進学する選手は多かったが、将来のプロや社会人への進路を考えるなら、関東の大学に進んだ方が、「練習試合などでプロや社会人のスカウトに見てもらえる機会が多い」という考えだった。

 「強いところに行くよりも、出られるところ」というのが里崎さんの選択の基準になった。「強いところにいっても、自分が出られなければ、評価されない。自分が試合に出てプレーすることで評価の対象になる」。

 引退後の講演会や野球教室などで、多くの人から「プロ野球選手になるにはどうすればいいですか?」と聞かれる。答えは「そんなものは存在しない」。里崎さんが選んだ選択は里崎さん自身にとっては正解だったが、その選択が他の人に当てはまるとは限らない。ただ言えるのは、その選択を「正解」にするための努力が必要ということだ。

 講演後は質疑応答もあり、熱心なファンからの質問が相次いだ。締めくくりに小薗委員長から「ぜひ来年以降も応援団長を引き受けて欲しい」とラブコール。「私でよければ」と里崎さんは快諾していた。