選手、指導者の共通認識を深める進路希望シート

 選手にとって適切な進路先を決めるのに欠かせないのが面談である。2年秋の大会が終われば、選手の親と交えながら行うが、その前に進路希望シートを書かせる。健大高崎の場合、以下の項目を記入する。

・希望の職業

・希望の大学・学部(候補は複数)

・推薦希望 野球部によるスポーツ推薦、もしくは学校の指定校推薦、一般入試か

・硬式・硬式以外(準硬式など)

 選手が出した希望は、選手の実力、学力に見合ったものなのかと判断し、面談しながら軌道修正しながら、希望先の大学野球部の練習会に参加する。最初は実力とは見合っていない強豪大学野球部の希望もあったが、最近は情報が取れるようになって、将来の職業を見据えて現実的な進路を希望する選手が増えているようだ。


昨年、群馬大会を優勝した健大高崎ナイン ベンチ入りは卒業した3年生が中心だった

 大学、社会人を経由して、プロ野球選手になりたい選手や社会人野球までやり通したい選手はなるべく強豪野球部を目指す。一方で将来、希望職業が決まっている選手は準硬式を薦めているケースもある。

「強豪の大学野球部だと野球一本で、その職業に就くための勉強は難しいですが、準硬式の場合、授業、アルバイトの時間が取れて、大学生らしい生活ができるのがいいですよね。関係のある準硬式の野球部さんは準硬式の連盟内ではレベルが高く、学業との両立ができるので、野球選手以外の希望進路を考えている選手は薦めています」(青柳監督)

 今年の新3年生にも準硬式を考えている選手もおり、今年の2月に大学準硬式野球部の練習に参加した。

 さまざまなリーグに進む選手が増えたことで野球をやめてしまう選手が減っている。

「先輩たちが野球部の風土をしっかりと後輩たちに伝えていて、それを分かった上で、準備して大学に臨んでいるので、だいぶ良くなっていると思います」(青柳監督)

 センバツ連覇に期待がかかる今年の新3年生たちも進路は楽しみだ。

 また明確にプロ志望を表明しているのは154キロ右腕・石垣 元気投手、昨年のセンバツ優勝投手の佐藤 龍月投手の2人だ。昨年のドラフトでは超高校級捕手・箱山 遥人(トヨタ自動車)が指名漏れに終わった。青柳監督は「ドラフトは本当に難しい…この2人も頑張らないと」と不安な心境を語った。

 高校生活で野球に打ち込んだ選手たちが希望通りの進路を叶えられるように、青柳監督を始めとした指導スタッフ陣は日夜、サポートを続ける。