2025年3月5日(水)と6日(木)に、井端弘和監督が率いる侍ジャパントップチームがオランダ代表を迎え、京セラドーム大阪で開催された「ラグザス侍ジャパンシリーズ2025」。
大会連覇がかかるWBCを翌年に控え、侍ジャパントップチーム初招集の選手が数多く名を連ねる中、四国地区高校出身の、広島・塹江 敦哉投手(高松北)、日本ハム・河野 竜生投手(鳴門―JFE西日本)の両左腕も初招集となった侍ジャパントップチームの舞台で躍動した。
過去、プロ2年目に侍ジャパンU-23代表のメンバーとして「2016 WBSC U-23ワールドカップ」初代王者こそ経験しているものの、トップチームには縁がなかった塹江投手は5日の4回表に2番手として登板。先頭打者こそ死球で出塁を許したものの、MLB経験豊富な左打者、ディディ・グレゴリアスをはじめとする2番打者以降に昨年「プロで生き抜くために」腕をサイドの位置まで下げ、広島で確固たる地位を築いた変則投法・本格派ボールの強みを存分に発揮。最後は4番のウジェーン・ヘルデルに対し最速153キロのクロスファイアで空振り三振を奪い、トップチームデビューを1回無安打無失点で締めた。
この好投には県立中高一貫校の高松北で粘り強く指導し、塹江投手を最速150キロに到達するまで成長させた秦 敏博氏(現:同校硬式野球部部長)も「(プロで)10年間頑張って侍ジャパントップチームに選ばれ、しっかり抑えたことは嬉しい限り」とコメント。
試合当日は高校卒業式のため生観戦は叶わなかったものの、「来年も左の中継ぎとして、ぜひ侍ジャパンでロサンゼルス・ドジャース・大谷 翔平選手(花巻東)と共に活躍してくれたら」と香川県出身選手初のWBC出場を熱望した。
一方、昨年はプロ5年目で1勝4敗33ホールドで初の最優秀中継ぎ賞に輝いた河野投手は、6日の6回裏に4番手として登板。JFE西日本時代に起源を発する独特の投球タイミングとボールを最後まで隠すフォームから140キロ後半のストレートで押し込み、3人を凡打に仕留めた。世代別含む侍ジャパンは初招集ながら、鳴門時代に3年連続夏の甲子園登板、3年夏には阪神・村上 頌樹投手(智弁学園)にも投げ勝った大舞台での強さを見せ付けている。
その登板を映像で見守ったのは高校時代の恩師・森脇 稔監督。「この2年間中継ぎで投げて自信が付いた中、侍ジャパンでもしっかり投げることができ、いい経験ができてよかった」と語り、2006年第1回大会での里崎 智也氏以来となる徳島県・鳴門市出身者のWBC出場については「まずは今年しっかり実績をファイターズで残してほしい」と、さらなる飛躍へ期待を寄せた。
塹江は河野の2学年先輩ということもなり高校時代はほぼ接点がなかった2人だが、図らずも今回、日本野球界の最高峰で運命が合わさることに。共に左腕中継ぎの立場上、WBC出場枠を争う形にはなるだろうが、ぜひ2人には2006・2009年にWBC連覇に大きく貢献した宇和島東出身の岩村 明憲氏以来となる四国出身者のWBC出場を目指してもらいたい。