3月18日から始まる第97回選抜高等学校野球大会で昨年の王者・健大高崎は今年も本命視されている。

 昨年の主力の多くが3年生だったため、新チームのスタートは不安視されていた。だが公式戦初戦の桐生第一には5回コールド勝ちを収めると、群馬大会、関東大会合わせて9試合中、6試合がコールド勝ち。完封勝利が5回と申し分ない成績を残した。

チーム打率.390、6本塁打、29打点と強打を発揮し、チーム打率、本塁打はセンバツ出場32校中1位。チーム防御率0.95も全体6位と安定している。

高校生ナンバーワン右腕&防御率0点台の145キロ左腕が控える投手陣は盤石!


投球練習する石垣

 青柳博文監督は「今年の投手陣は計算できる」と語るように、154キロ右腕・石垣 元気投手(3年)、2番手・下重 賢慎投手(3年)の安定感が抜群。

 石垣は秋の県大会初戦の桐生第一戦では5回2失点、8奪三振の好投。準決勝の前橋育英戦では7回14奪三振で完封勝利。関東大会の佐野日大戦で2回に3失点を喫したが、その後は無失点に抑えて、7回3失点完投勝利を挙げた。秋では、26回を投げ、33奪三振、防御率2.06という成績だった。

 石垣は「秋の大会は全く満足していません」と語る。コントロールと変化球の精度、球質の部分で課題を感じていた。

 この冬はブルペンで打者を立たせて厳しいコースへ投げこみ、様々な変化球も試した。2月に行われた館山合宿の紅白戦でストレートは150キロを計測するだけではなく、回転数も2100から2400と大きく改善。「空振りを奪えるようになりました」と笑顔を浮かべた。130キロ後半のスプリットにも手応えを掴んでいる。

 2番手の下重は昨秋の関東大会初戦の霞ケ浦戦で5回無失点の好投を見せると、準決勝の千葉黎明戦では7回無失点の好投。常時130キロ後半の速球、スライダー、チェンジアップを器用に投げ分け、試合を作る能力は夏よりも高まっている。秋の公式戦では、30.1回を投げ、22奪三振、防御率0.30と投球成績は石垣を上回る結果となった。石垣が投げなくても先発で試合が作れる投手がいるのは大きい。

 リリーフでは140キロ前半の速球を投げ込む右腕・島田 大翔投手(3年)、技巧派左腕・山田 遼太投手(3年)が控える。島田は回転の良いストレートを投げており、詰まらせる投球を得意としている。山田は常時120キロ台後半のストレートを内外角に投げ分け、低めに落ちるチェンジアップで打たせて取る投球を得意としている。

 青柳監督は「センバツではこの4投手が基本」と語るが、実戦形式の打撃練習で浮上してきたのが2年生左腕・築山 新投手だ。

 昨秋は左ヒジの怪我で離脱したが、ベンチ入りへ向けてアピールを続けている。2年生になってから腕を下げたサイド気味の投球フォームになり、最速は132キロだが、変化球の切れ味が鋭く、シート打撃ではレギュラー陣の打者を打ち取り、メンバーから「築山の変化球、エグ!」という声が聞かれた。センバツのベンチ入りが叶わなくても、1試合ごとにメンバー入れ替えが可能な春の県大会でデビューする可能性もある。

昨秋6本塁打を放った野手陣はさらにパワーアップ

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