昨秋、兵庫を代表する名門・東洋大姫路が完全復活を果たした。秋の近畿大会優勝、明治神宮大会4強という実績を引っ提げ、優勝候補の一角として今春のセンバツに挑む。
履正社を2019年夏の甲子園優勝に導いた岡田龍生監督が22年4月に就任。3年で母校を全国屈指のチームに育て上げた。これまでのチームの成長、センバツに向けての課題を岡田監督らの話から解き明かしていく。
投手は甲子園優勝した19年履正社より良い
「最初に引き受ける時も『3年でというのは僕自身としては難しいです』と話していたので、それが3年以内で結果が出たことについて、少しほっとしますね」
インタビューの冒頭で岡田監督はこう語った。「3年で甲子園」とはよく言われるが、岡田監督ほどの名将であっても決して簡単なことではない。それでも選手が指揮官の予想を上回る成長を見せ、近畿の頂点を勝ち取るまでになった。
昨秋に好結果を出せた要因として、岡田監督は「ピッチャーが成長してくれたことです」と語る。県大会では打線が湿る試合も少なくなかったが、投手力の頑張りで優勝を果たした。
エースの阪下 漣(2年)は抜群の制球力を誇り、27回2/3を投げて、わずか1失点。最速142キロ左腕の末永 晄大(2年)は阪下が怪我で出遅れていた序盤戦で主戦として活躍した。
全国制覇をした19年、コロナ禍で甲子園が中止になった20年が履正社史上で最も力のある世代だったと言われているが、「投手は今の方が良いかもしれない」と岡田監督は評価している。
19年は清水 大成(東邦ガス)と岩崎 峻典(ソフトバンク)の二枚看板、20年は岩崎に内 星龍(楽天)、田上 奏大(ソフトバンク)などがいる充実した投手陣だった。「清水と岩崎は甲子園に行ってから良くなりました。2人が継投で良く投げてくれたと思いますけど、そういう状況にまだ、ピッチャー陣がどれだけそういう舞台で頑張れるのかなというところはありますけどね」と未知数に感じている部分もあるようだ。
状態に問題がなければ、阪下は安心して任せられるだろう。19年の岩崎のように2番手以降の投手から救世主的な活躍を見せる投手が出てくれば、より盤石になるはずだ。