3月に入り、オープン戦も一軍争いが激しくなっています。昨年91勝と圧倒的な勝ち星で4年ぶりの優勝を収めたソフトバンクは、新たに開幕ローテーションを狙う期待の星がいます。それが23年ドラフト1位の前田 悠伍投手(大阪桐蔭)です。昨年は二軍で、登板12試合で防御率1.94の好成績を残しました。一軍での実戦でも好投を続けており、惜しくも4日に二軍降格が決まりましたが、長いシーズンの中で必ず一軍での活躍のチャンスはあるでしょう。そんな前田投手について迫っていきたいと思います。

1年目は二軍で高い制球力を発揮!!

 まず高卒1年目の二軍成績の詳細を振り返っていきます。

12試合 65回 4勝1敗 58奪三振 自責点14 与四球8 K/BB 7.25

 高校時代から前田投手は三振が取れて、四球、失点も与えない制圧的な投球ができていましたが、二軍でも同様のパフォーマンスを見せていました。投手の制球力を示すK/BB(奪三振÷与四球)は7.25。さらに打者249人と対戦してわずか8四球で、BB%(与四球÷打者数)はわずか3.2%と安定した投球ができていました。

 これはオリックス・宮城 大弥投手(興南)の高卒1年目に二軍で記録したBB率9.7%(246打者に対し、23四球)を上回る結果です。前田投手の制球力が抜きん出ているのが分かります。

 二軍での投球が評価され、10月1日のオリックス戦で一軍デビューとなった前田投手は3回6失点と悔しい投球に終わりました。二軍で無双とも言える内容を残して、一軍では通用しなかった要因として、球速・球威面が挙げられます。この試合での最速は144キロ。1年間通しての二軍での平均球速は140キロほどでした。高校時代とあまり変わりありません。

 投球術、制球力、決め球のチェンジアップなど投手としての完成度は申し分ない前田投手ですが、球速、球威面は高校時代からずっと課題にしていたことでした。

今年は球速・球威面をレベルアップし、一軍で活躍を

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