今年は球速・球威面をレベルアップし、一軍で活躍を

 高校1年秋は最速140キロで、センバツも140キロ程度。一気に球速が高まったのは2年夏で、大阪大会決勝の履正社戦では最速147キロを2球マークし、平均球速139.56キロでした。高校3年間の公式戦でこれを上回る試合はあまりなく、どの試合を見ても、147キロを計測した23年センバツ準々決勝の東海大菅生戦を除くと、最速は144キロ〜145キロほどで、平均球速は137キロ〜138キロにとどまりました。

 2年夏の履正社戦を上回るインパクトはありませんでした。そして最後の夏は大阪大会では決勝戦に敗れ、あまりアピールできずに夏の公式戦を終えました。


23年U−18代表時の前田投手

 しかし高校日本代表に選出された前田投手はワールドカップで復活。アメリカ、台湾、韓国の強豪3カ国すべてに勝利を上げて、初の世界一に貢献しました。こうした快投が認められ、ハズレ1位ながら、ソフトバンク、日本ハム、楽天の3球団の競合の末、ソフトバンクが交渉権を手にしました。1年目の二軍成績を見れば、順調に育成は進んでいますが、一軍で活躍するには、平均球速アップ向上が不可欠。前田投手自身もそれを課題に挙げていると聞きます。

 今年に入ってからの投球は順調な仕上がりを見せています。2月26日の韓国・ロッテ戦では2回無失点。最速144キロの速球、切れ味抜群のスライダーで三者連続三振を奪う場面がありました。

 前田投手の比較対象はコントロール型の左腕として冒頭にも挙げたオリックス・宮城投手になります。宮城投手の1年目は二軍で、13試合で防御率2.72、6勝2敗、59.2回を投げて、49奪三振でしたが、2年目は一軍で13勝4敗、防御率2.51と驚異的な躍進を遂げました。宮城投手はコントロール型でありながら、150キロを超える速球を投げていましたが、前田投手は宮城投手ほどの馬力があるタイプではないので、150キロを超えることはそれほどないと思います。

 どんな投球で活躍するかといえば、出所が見にくく、切れ味抜群の140キロ台中盤のストレートと多彩な変化球で翻弄した和田 毅投手(浜田)や、杉内 俊哉投手(鹿児島実)のような投球スタイルで勝ち星を稼ぐタイプになるのではないかと見込んでいます。

 ぜひ25年シーズンはみずほPayPayドームでの快投を期待しています。