<田無5-4杉並> 9日◇練習試合◇ 都立杉並グラウンド
翌週から、一次ブロック予選を迎える東京都の各校。ブロック予選からの出場を控えている学校は、あと1週間で今年最初の公式戦とあって、調整に余念がない。そんな中で杉並グラウンドでは田無と、とても緊張感のある練習試合が行われた。
前日夕方過ぎから、雪混じりのような冷たい雨が降ってきてグラウンドを覆っていた。朝にはすっかり上がって、好天気に恵まれたが、グラウンドの回復にはかなり時間を要した。ということで、結局、14時からガチの一本勝負ということになった。杉並は、公式戦ユニフォームで背番号もつけて、本番モードで挑んでいた。
杉並は、昨春は新入生が25人も入ったということで注目された。今の時代に都立校として、これだけの新入部員を確保するということは、大変なことである。スタッフなども、それなりの尽力をしなければなかなか実現できない。新3年生も14人おり総勢39人。これに、4月から新入生が15人前後見込まれそうだという。そうなると、50人以上となり都立校としては大所帯となる。
それに対して田無は、新3年生9人、新2年生8人という状況。春季大会は何とかこの体制で挑んでいくことになりそうだ。しかし、田無の選手たちも島修司監督の下、しっかりと練習を積んできているという印象である。どんどんと打って行くというようなチームではないので、決して派手さはない。きちんと守って、獲るべきアウトを一つずつしっかりと獲っていくという姿勢だ。随所に好プレーも見られたのは、日々の練習の成果であろう。
下手投げの曽山勇貴投手(3年)が上手にコーナーを突きなが左右の出し入れの投球で何とか交わしていていた。ときに死球を当てたりもしていたのだが、崩れそうで崩れないという感じで、ミラクル感は十分だった。失点はしながらも、しっかりと9回を4失点で投げ切った。
杉並は、昨秋は代表決定戦で堀越に0対5で敗れたのだけれども、チーム力はある。その軸は投手陣だが、1年生ながら昨秋1番を背負っていた櫻井克己投手(2年)が、指に打球を当てて骨折して、戦列を離れていた。この日は、回復ぶりの確認も含めて、7回から久しぶりのマウンドとなった。ただ、球を十分に握り切れていなかったところもあったのだろう。ちょっと力みもあって、本来制球は悪くない投手なのだけれども、投球はややブレ気味となってしまった。最後は、満塁から暴投で三塁走者を帰してしまったというのも、そんな表れだったかもしれない。
それでも、杉並の小林研一郎監督は、「大会前に、こういう試合での負けはいい薬です。櫻井もこんな負け方は初めてだと思います。自身の鼻をへし折るには丁度よかったかもしれません(苦笑)」
杉並の先発右腕の橋本悠投手(3年)は、昨夏からは身体そのものも一回り大きくなり、下半身はどっしりしているという印象だった。ずしっと重そうなストレートも決まっていた。やはり、身体が出来ていくことで高校生は一気に力を増していくということを示しているかのようでもあった。4イニング投げて1安打のみでの1失点は合格点であろう。
練習試合ながら、終始緊張感のある展開となって、8回に田無が2対3から逆転。しかし、9回、杉並も併殺崩れの失策で同点に追いつく。4対4となったので、「タイブレークをやろう」ということになった。
杉並は6番から、田無は5番からという打順になったが、杉並は走者が飛び出すなどのミスもあって無得点。その裏、田無はきっちりと送って、二、三塁。その後に櫻井投手の暴投が出てしまいサヨナラとなった。
田無の島監督は、「勝ち方としては、これしかないという形だったでしょうね。大会へ向けてはいい弾みにはなりそうです」と喜んでいた。
試合の展開からも、最後までお互いに緊張感を保っていた。どちらにとっても、とても価値のあるいい練習試合だったと言っていいであろう。