阪神では長らく高卒野手の育成に苦戦してきた。昨年も近本 光司(社‐関西学院大)、森下 翔太(東海大相模‐中央大)、佐藤 輝明(仁川学院‐近畿大)ら大卒、社会人出身の野手が打線の中心を担っている。
2017年に中谷 将大が20本塁打を放ったが、翌年以降は活躍を継続できなかった。2000年以降のドラフトで入団した高卒野手で規定打席に到達したのは中谷と大和のみ。左打者に限定すると、1973年ドラフト6位で入団した掛布 雅之が最後となっている。高卒左打者の2桁本塁打も掛布が1987年に記録して以降、達成者がいない状況だ。
そんな中、高卒4年目・前川 右京(智弁学園)が覚醒を予感させている。オープン戦では8試合、打率.417(24打数10安打)、3本塁打、6打点と打撃3部門でトップに立っている。
前川は智弁学園時代に高校通算37本塁打のスラッガーとして注目を集め、2021年ドラフト4位でプロ入り。高卒2年目に一軍デビューを飾ると、昨年は116試合に出場し、打率.269、4本塁打、42打点と飛躍の兆しを見せた。
さらに今年は長打力が増し、オープン戦では楽天・則本 昂大(八幡商‐三重中京大)、中日・涌井 秀章(横浜)、DeNA・東 克樹(愛工大名電‐立命館大)と一軍実績のある投手から本塁打を記録。開幕スタメンの座を手中に収め、覚醒間近となっている。開幕後も好調を維持し、掛布以来の2桁本塁打に期待したい。