3年連続でセ・リーグ最下位と低迷が続く中日。井上 一樹新監督が就任し、上位進出を目指すチームに暗雲が立ち込めている。

 井上政権初年度から不運に見舞われている。3月上旬に田中 幹也内野手(東海大菅生)が左手有鉤骨鉤部骨折と診断されると、新外国人のジェイソン・ボスラー外野手も上半身の違和感を訴えて開幕絶望となった。さらには、18日のソフトバンク戦で中軸として期待されていた福永 裕基内野手(天理)が負傷交代すると、右膝内側側副靱帯損傷と診断を受け、離脱を余儀なくされた。福永は昨年111試合に出場し、打率.306、6本塁打、32打点と打撃でアピール。今季は3番の起用を明言し、二塁手のレギュラーとして期待されていただけに、チームに与える影響も大きいだろう。

 不足の事態を受け、井上監督は新たに3番にオルランド・カリステ内野手、4番に石川 昂弥内野手(東邦)、5番に細川 成也外野手(明秀日立)の新たなクリーンアップ構想を明かした。ここで重要になるのは細川の前後を打つ打者だろう。4番を張る石川はオープン戦途中までアピ―ルをしていたが、直近3試合では1安打に終わり、打率.200まで調子を落としている。それでも中日で一番警戒すべき細川の前を任されることは、井上監督からの絶大な信頼の証だ。地元・東邦からドラフト1位で入団し、期待を受けてきた長距離砲。怪我に泣かされることも多かったが、今年こそ覚醒を見せることが出来るのだろうか。

 そして、石川以上に重要になるのが細川の後を打つ6番打者だ。特に注目したいのは上林 誠知外野手(仙台育英)。23年オフにソフトバンクから戦力外通告を受けて中日に入団し、2年目の今季はオープン戦で打率.323、3塁打と好調を維持している。ソフトバンク時代にはシーズン22本塁打を放った実力を持ち、完全復活を予感させるアピールが続く。報道によれば、井上監督は上林についても3、5番での起用も示唆している。どちらにせよ細川の後ろを任せる打者の状態が得点力アップに繋がることは間違いない。

 中日は投手陣も苦しい状況。その中で主力の野手陣に怪我人が続出しているのは痛手だ。主力が復帰するまで、出場する選手がどれだけ奮闘できるか。井上新監督の起用法にも注目が集まる。