<春季東京都高校野球大会第5ブロックA:郁文館17-0青稜(6回コールド)>◇20日◇代表決定戦◇東大和グラウンド
1回戦は23―3、代表決定戦は17―0、2試合で40点と、郁文館は1次予選で圧倒的な力をみせた。常総学院の監督であった佐々木 力が監督に就任して2年目。佐々木監督の野球が、チームに浸透してきた。
名将・木内 幸男監督率いる取手二の二塁手として全国制覇を果たし、恩師が監督となった常総学院でコーチ、監督を務めた佐々木監督は、木内監督と同様に、しっかりサインを出して、ベンチが動かす野球をする。「サインプレーは多いです」と、鹿内 翔央内野手(3年)は言う。
近年はノーサイン野球のチームも増えているが、「選手個々の能力が高くなればそういう野球もありますが、まずは個々の能力を上げて、つなぐ野球です」と佐々木監督は言う。この冬は、食トレを含めた体作りをしっかりやった。そしてサインプレーなど約束事が多い分、練習も厳しくなるが、佐々木監督は自ら率先してチームのために動く姿勢をみせている。グラウンド整備をしたり、賄いの料理を作ったりすることもある。「親子丼、牛丼にパスタ、おにぎりなども作ります」と佐々木監督。
代表決定戦の前日は、カレーライスを作ったそうで、鹿内は「おいしかったです」と語る。代表決定戦は、チームの4番打者でもある鹿内の一発で勝負が決まる。
試合は1回表二死後、敵失で走者が出ると、青稜の先発・村田 遼平(2年)は制球を乱し、暴投と死球による押し出しで、郁文館が2点を先制。2回表も押し出しで1点を追加した後、なお満塁の場面で鹿内がレフトの柵越えの本塁打を放ち、4点を追加。勝負を決める貴重な一発になった。
「高めのストレート。当たったのがバットの先っぽだったので、レフトフライかなと思いました」と鹿内は言う。低反発バットになっても、芯に当たれば打球は飛ぶ。けれども芯以外だと詰まりやすいが、バットの先に当たっても本塁打になったところに、この冬のトレーニングの成果を感じる。そして前日のカレーライスの効果かどうかは定かでないが、佐々木監督自らが料理した食事は、チームに一体感をもたらすともに、選手のモチベーションになっているのは確かだろう。
齊藤 拓未(2年)、高野 竜輔(2年)のバッテリーに、一塁手の井﨑 玲王(2年)は、佐々木監督について茨城県から加わったメンバーだ。齊藤は、入学当初は球速が128キロほどだったが、今は145キロに達しているという。この試合も球威のある球を投げ、3回を被安打3、奪三振5の無失点に抑えた。
それに主将の津本 一希内野手(3年)と鹿内の3,4番も力がある。郁文館は1次予選からの勝ち上がりながら、本大会での活躍が期待できる戦力が整いつつある。
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