<第97回選抜高校野球大会:早稲田実8-2高松商>◇22日◇1回戦◇甲子園

 記念すべき第1回センバツ大会(1924年)の決勝カードの再現は、当時優勝を逃していた早稲田実(東京)が、高松商(香川)相手に、見事にリベンジを果たした。早稲田実はセンバツ5大会連続の初戦突破となった。

 原動力となったのは、頼れる左腕エースで、主将でもある中村 心大投手(3年)だった。

 昨秋公式戦、チーム打率.367をマークした強力な高松商打線を相手に、8回1失点。中盤以降はやや苦しんだが、序盤3回まではわずか1安打に抑え、リズムを作った。

 打席でも躍動した。7番の下位打線ながら、4打数4安打3打点。1四球もあり、5打席すべて出塁した。2回の先制二塁打など、バットでもチームの勝利に大きく貢献した。

 昨年夏のマウンドも経験し、2勝を挙げる活躍を見せた。「初回、三塁打を打たれてから、先制を許してはいけないので、ギアを上げることを心がけた。注目の対決で、ОBから勝ってほしいという声が挙がっていた。なんとか勝つことができて嬉しい」。新チームではエースで主将という立場で戻ってきた聖地で、大きく成長した姿を見せつけた。

 101年前の決勝で負けた大先輩たちの涙を、1世紀を過ぎた今、早稲田実ナインが歓喜にしてみせた。

 高松商は先発の末包 旬希投手(3年)を含め、自慢の投手陣が打ち込まれ8失点で敗れた。しかし打線では2ケタ10安打を放ち、終盤には2点を奪って意地を見せた。最後まで諦めない伝統校の粘りは、この夏にもつながる。