<高校野球秋季神奈川大会:武相12-5横浜商>◇21日◇4回戦◇等々力球場

 今春の神奈川大会で42年ぶりの頂点に立ち、今夏も横浜との準決勝で9回まで1対1の好試合を演じるなど古豪復活の道を着実に歩んでいる武相。今秋も順調に勝ち上がり、この日の試合でも横浜商の先発・山口 櫂投手(2年)の前に5回まで無安打と苦しめられながら、終盤に集中打を浴びせて逆転勝利を掴んだ。

 新チームは今春から正捕手を任された新主将の吉崎 創史捕手(2年)をはじめ、渡辺 羽音内野手(2年)や森山 惇外野手(2年)、投手でもこの日登板した八木 隼俊投手(2年)、三上 煌貴投手(2年)ら、試合経験豊富な選手が多く残り、「経験がある分、この5人には中心となってもらわない」と豊田 圭史監督も期待を寄せている。

 就任4年目にして安定してチームを上位へ導いている豊田監督は、「窮地に追い込まれたときに優しさを出すのではなく、取り返そうする気持ちをチームに浸透させてきた」と話す。この日も中盤まで相手ペースの苦しい状況が続いたが、「このまま負けたら悔いが残る。チャンスが来た時に決めるべき人間が決めると伝えた」と奮起を促すと、7回に3点差まで迫り、なおも一死満塁の場面で渡辺が走者一掃の三点適時三塁打で同点に。さらには続く吉崎が「内野が前進になったので、なんとか間を抜こうと思った」と直前でバットを短く持ち替えて中堅手の前に落とす逆転打を放つなど、チームを支える経験者の活躍で勝利を手にした。「うちは優しい言葉はあまりかけないですけど、やり方やスタイルはブラさない」と指揮官が叱咤激励を飛ばしてきた成果が、結果となって現れた試合となった。

 次戦は横浜と対戦。チームを牽引する吉崎は、「自分自身も横浜を相手にしたら余裕を持てないかもしれないですけど、経験者としてチームを引っ張っていけるように一週間準備していきたいです」と抱負を口にした。