<秋季愛知県大会:至学館2―0名古屋たちばな>21日◇準決勝戦◇小牧市民球場
秋の愛知県大会のベスト4は、すべて名古屋地区勢となった。ただし、伝統的な‟名古屋市内私学4強”は中京大中京のみ。ほかは、躍進著しい至学館にこの夏、享栄、愛工大名電を下すなどして大旋風を巻き起こした名古屋たちばな(前愛産大工)に、名城大附という顔ぶれになっている。
至学館は西尾、愛知啓成、中部大春日丘に競り合いながらもしぶとく勝ち上がってきた。従来の“トリッキーな至学館野球”に鈴木健介監督が新たなエッセンスを注ぎ込みながら、“ニュー至学館”としてここまで昇ってきた。
名古屋たちばなは、夏の勢いが大きな自信にもなっているようだ。名古屋地区予選では二次決勝トーナメントで決勝まで進み、県大会でも成章、愛知を下して、昨秋の東海地区大会優勝校でセンバツ出場も果たした豊川にも勝ってのベスト4だ。
名古屋たちばなは背番号13の中島 稜太投手(2年)が先発。鈴木将吾監督は、「試合を任せられる投手が3人はいる」と投手陣には自信を持っているが、ここまでも、それらの投手を巧みにつないでいきながら戦ってきた。
至学館も、過去は伝統的に継投で繋いでいくチームなのだが、この秋は1年生エースの尾﨑 陽真投手が一人で投げ切ってきている。しかも、非常に失点が少なくロースコアでの戦いをものにしてきている。
この試合も、投手戦が予想されたが、初回の攻防はともに先頭打者が安打で出塁したが、名古屋たちばなは攻めきれず0に抑えられた。その裏、至学館は武藤 駿輝選手(1年)と船橋 幸多主将(2年)の連打で無死二、三塁として、続く松本 尚也選手(2年)は投ゴロの間にゴロGOでスタートを切っていた三塁走者がホームインして先制した。
4回にも至学館は4番坂下 虎太郎選手(2年)と5番に入っている尾﨑投手の内野安打に失策もあって無死一三塁というところで、次打者は併殺打となったが、その間に三塁走者が返ってきた。
こうして、至学館はタイムリー安打がないまま2点を奪い、その得点を尾﨑投手がしっかりと守り切った。尾﨑投手は決してスピードがあるワケでもなく、ストレートも125キロ前後なのだが、制球がよく、ほとんど四球を出さない。また、上手にコースを投げ分けていた。このあたりは、井口睦丈捕手(1年)も、好リードで尾﨑投手の持ち味を引っ張りだしていたということであろう。
これで、至学館は2年ぶりの東海地区大会進出を決めた。
至学館の鈴木健介監督は、「渋い試合ではありましたが、練習でやってきたことはやれているとし、守りながら攻めていくという野球はやれている。本音としては、もう少し打って欲しいというところもありますが、大会前に掲げた一つひとつの目標はクリアできている」と、勝利を喜んでいた。
名古屋たちばなの中島投手も決して打ち崩されたわけではなかった。8回にリリーフした石川萬才投手(2年)もしっかりと投げて、責任を果たした。ただ、尾﨑投手に対して、あと一本が出せず、攻めきれなかったことが悔やまれた。