昨季、大失速で4位となった広島は長打力、得点力不足が課題となった。昨年はチーム打率.238、52本塁打、415得点はいずれも最下位だ。
カープの補強を見ると、ドラフト1位は大学球界屈指のスラッガーとして評判が高い青山学院大の佐々木 泰内野手(県岐阜商)を獲得したが、左太もも裏の肉離れで離脱し、一軍の戦力になるまで時間がかかりそう。その穴を埋めるのは新外国人のファビアン、モンテロのスラッガーコンビ。ファビアンはオープン戦では2本塁打を放ち、スイングスピード、打球速度は他の選手にはないものをもっている。モンテロは打率.333、2本塁打、3打点だった。オープン戦9本塁打のうち4本はこの2人が打ったもので、この2人が機能するかで攻撃力が大きく変わりそうだ。
一軍選手の顔ぶれを見ると、新入団した日本人選手の中で早くも戦力になりそうなのが3人いる。
ドラフトからは3位の岡本 駿投手(徳島・城南 - 甲南大)だ。岡本は186センチの長身から最速149キロの速球を投げ込む本格派右腕。高校時代は遊撃手メインの投手兼任だったが、大学入学後から投手に専念した。春のリーグ戦ではわずか1試合登板。プロ志望の大学生は春でのアピールが大事といわれるが、そこで投げられず、ドラフト前でも地元の記者しか知らない無名の存在だった。
秋のリーグ戦で37回を投げ、24奪三振、防御率2.19の好成績だった。岡本はリーグ戦終了後に調査書が5球団から届き、支配下指名のみ入団する条件でドラフトに臨んだ。関西地区の記者からはこの条件だと指名は厳しいのではという声は挙がっていた。ドラフトでは3位指名と高評価だった。伸びのある快速球は環境が変わっても発揮し、オープン戦6試合で防御率1.29。2回3奪三振の好投を見せた13日のロッテ戦では最速151キロ、140キロ前半のツーシーム、カットボール、チェンジアップを投げ分ける投球は大学時代とは別人のような成長を見せている。
そして現役ドラフトからは現役ドラフトでオリックスから山足 達也(大阪桐蔭出身)、そして日本ハムから鈴木 健矢(木更津総合出身)と史上初となる合計2名を獲得した。結果として支配下登録69名と膨れ上がってしまったが、2人の働きはなかなかいい。右アンダーの鈴木は5試合で無失点。速球投手が多いカープの中で、技巧派の投球を見せる鈴木は差別化が図れており、今季は存在感を示していきそうだ。山足は複数ポジションを守れるユーティリティぶりが評価される内野手だが、オープン戦は21打数7安打と打撃面で結果を残し、オープン戦では途中出場を含め14試合に出場した。
今季は途中出場や、打撃の調子によってはスタメンも考えられるだろう。
オープン戦を見るとスカウト、編成部の目利きの良さが証明されている。この3人だけではなく、怪我から復活を狙う佐々木や、ギリギリまで開幕一軍争いを見せたドラフト2位左腕の佐藤 柳之介投手(東陵)などドラフト組も活躍すれば、広島の戦力は大きく底上げされ、既存の選手たちにも刺激になるだろう。