第97回選抜高校野球大会(センバツ)は30日に決勝戦を迎える。横浜(神奈川)か智弁和歌山(和歌山)か。両チームともに、過去センバツで優勝経験のある名門で、横浜が4回目、智弁和歌山が2回目の優勝を狙う。
智弁和歌山は1994年のセンバツで優勝し、春夏通じて初の甲子園優勝を手にした。1985年のセンバツに、春夏通じて甲子園初出場を果たしてから、9年後のことだった。当初は春夏通じて初陣から5連敗。苦しい出発とはなったが、高嶋仁監督の指導と、受け継がれてきたナインの努力が実を結んだ。
1994年春は初出場から9年ぶり2度目の出場だった。初戦で秋田(秋田)に勝利し、待望のセンバツ初勝利をつかむと、快進撃がスタートした。2回戦では横浜と対戦している。今回の決勝の相手で、甲子園で両チームが戦ったのはこの1回だけだ。横浜には多村仁(のちに多村仁志、横浜、ソフトバンクなど)がいた強力チームだったが、智弁和歌山は左腕の笠木伸二投手と、右腕エース・松野真人投手(ともに3年)の2枚看板が、横浜打線を6安打2失点に抑え、打線も11安打と横浜投手陣を打ち崩して、10対2で勝利した。
横浜に勝利したことで勢いが加速する。準々決勝では宇和島東(愛媛)、準決勝ではPL学園(大阪)を破ると、決勝で常総学院(茨城)との打撃戦に勝利して優勝をつかんだ。5試合すべて2ケタ安打。「智弁和歌山時代」の幕開けを感じさせた。
智弁和歌山が甲子園の決勝に進んだのは、この1994年が最初だった。この年を含めて過去8回決勝に進んだが、夏は4回中、3回優勝を果たした一方で、春は94年の優勝以外、3回すべて準優勝に終わった。
センバツ5度目となる決勝戦。高嶋監督の教え子、中谷監督の元、今度は決勝で横浜を倒し、智弁和歌山の「原点」以来の優勝で、新しい智弁和歌山の時代のスタートとできるか。