西武のドラフト2位ルーキー渡部 聖弥(広陵→大阪商業大)が好調だ。オープン戦では14試合で打率.233(43打数10安打)と特段目立つ数字ではなかった。しかし「5番・左翼」でスタメン起用されると、さっそく2安打。翌日以降も当たりは止まらない。新人による開幕からの連続試合安打記録に並ぶ6試合連続安打と打ちまくった。さらに記録が止まった翌日からも2試合連続複数安打と、勢いは衰えていない。

 本塁打こそ出ていないものの、打率.400(40打数16安打)の好成績。さらにOPS.861、得点圏打率は5割ちょうど。まだ10試合を消化したのみだが、ここまでは主軸の働きを見せている。また左翼の守備でもレーザービームを見せるなど、すでに攻守に欠かせない存在となった。

 そんな渡部は13人目のドラフト1位とも呼ばれる「ドラフト13番目」の選手だった。例年、期待値の高い全体13位だが、高校生と大学生・社会人の分離ドラフトが終わった2008年以降、投手では比嘉 幹貴(コザ→国際武道大→日立製作所→2009年オリックス2位)、三嶋 一輝(福岡工→法政大→2012年DeNA2位)らが中継ぎとして結果を残し、金村 尚真(富士大→2022年日本ハム2位)が先発として飛躍しつつある。

 一方の野手では吉持 亮汰(広陵→大阪商業大→2015年楽天2位)、藤岡 裕大岡山理大付→亜細亜大→トヨタ自動車→2017年ロッテ)、太田 光(広陵→大阪商業大→2018年楽天2位)、元 謙太(中京→2020年オリックス2位)、津田 啓史(横浜→三菱重工East→2023年中日2位)と、渡部の他に5人いるが、規定打席に到達した経験があるのは藤岡 1人だけ。ドラフト1位と同等の成績を残していると言える選手がいないのが実情だ。ちなみにたまたまではあるが、吉持 と太田の経歴は渡部と同じく広陵、大阪商業大出身だ。

 そんななか渡部は、「ドラフト13番目の選手」として直系の先輩にあたる吉持、そして太田を超える成績を残し、ドラフト1位と同等の活躍を見せることができるだろうか。これからもそのバット、そして守備に注目が集まる。

<分離ドラフト以降の全体13番目(2位の最初)の指名選手>

2024年:渡部 聖弥(広陵高→大阪商業大→西武)

2023年:津田 啓史(横浜高→三菱重工East→中日)

2022年:金村 尚真(岡山学芸館高→富士大)

2021年:徳山 壮磨(大阪桐蔭高→早稲田大→DeNA)

2020年:元 謙太(中京高→オリックス)

2019年:吉田 大喜(大冠高→日本体育大→ヤクルト)

2018年:太田 光(広陵高→大阪商業大→楽天)

2017年:藤岡 裕大(岡山理大付高→亜細亜大→トヨタ自動車→ロッテ)

2016年:黒木 優太(橘学苑高→立正大→オリックス)

2015年:吉持 亮汰(広陵高→大阪商業大→楽天)

2014年:風張 蓮(伊保内高→東農大北海道オホーツク→ヤクルト)

2013年:浦野 博司(浜松工→愛知学院大→セガサミー→日本ハム)

2012年:三嶋 一輝(福岡工→法政大→DeNA)

2011年:中後 悠平(近大新宮→近畿大→ロッテ)

2010年:加賀美 希昇(桐蔭学園→法政大→DeNA)

2009年:比嘉 幹貴(コザ→国際武道大→日立製作所→オリックス)

2008年:藤江 均(上宮太子高→NOMOベースボールクラブ→東邦ガス→DeNA)