昨夏の甲子園で初優勝を収めた京都国際。3季連続の甲子園出場を目指した昨秋の府大会では、4試合で24回無失点の快投を見せた左腕の西村 一毅(3年)など主力選手も数人残っており、新チームの期待値も高かった。

 しかし、昨秋の京都府大会では4回戦で京都外大西に延長11回の末、2対3で敗戦を喫し、センバツが絶望となった。先発した西村は11回を投げ抜き、18奪三振の快投を見せたが、21残塁と拙攻が響いた。

 3季連続の甲子園出場を逃し、20日に春季京都府大会の一次予選を迎える京都国際はこの冬、どのような歩みを進めてきたのだろうか。

すべてが課題だった

「もう全てですよね。走攻守、心技体、本当に一からだったので、一つ一つステップアップという感じです。もちろん、夏に向けて時間はないですし、焦らないといけないですけど、焦っても仕方がないので、今はもうできることを一つ一つ消化しているという段階です」

 小牧憲継監督にどんな課題を持って冬の練習に取り組んできたのかを聞くと、上記のような答えが返ってきた。“日本一長い夏”を過ごしたことで新チームの始動が遅れ、成熟度が低いまま秋の大会に挑まざるを得なかったことは否めない。秋の敗因を小牧監督は「考える力」「工夫する力」が不足していたことを挙げた。

「3年生の姿、試合運び、そういったものを見ていたはずなんですけど、夏の間にほぼオープン戦ができなかったので、実戦力がまだまだ足りない。実戦の中で起きることを想定して取り組めていなかったのがモロに出てしまいました」

個々の打撃力では昨年のチームよりあるが、状況に応じた攻撃に課題を残した。秋の敗戦を踏まえ、小牧監督はチーム改革に打って出る。秋の大会では旧チームから三塁手のレギュラーだった清水詩太(3年)が主将務めていたが、倉橋翔(3年)と嘉門翔太(3年)の主将2人体制に変更した。主将を2人したのは、互いの長所短所を補い合ってほしいという小牧監督の明確な狙いがある。

「倉橋はこれまでの京都国際の卒業生たちにあった一生懸命頑張る子なので、模範になる姿勢が見られます。ただ周りが見えない時があり、入り込んでしまうところがあるんです。嘉門は逆に周りが見えるんですけど、自分が出せないというか、少し冷めたところもあって、冷静に周りを見ているんですけど、倉橋みたいにもっとガツガツしてほしい。2人を足した選手が良い選手、良いキャプテンなんじゃないかなということで、お互いの成長にもなるし、チームとしてこういう選手に育ってほしいっていう思いもあって、今は2人でキャプテンをやらせています」

「キャプテンに指名されてからは、視野を広く持つという考えに自分の意識が変わりました」(倉橋)、「自分が最初から最後まで100パーセントで練習をこなさないといけないという意識になりました」(嘉門)とそれぞれに意識の変化があったようで、ここまでは純良にチーム作りは進んでいるようだ。

この冬で特に意識が変わったのは清水。以前は「自分の気分で一喜一憂してしまう」(小牧監督)と精神的に未熟な面もあったが、「取り組む姿勢が変わってきた」と小牧監督が認めるほどに目の色が変わった。その背景には高卒プロを志したことがある。

「プロに行ける可能性が0じゃないのだったら、自分の限界を試したい」と今春を前にプロ志望届を提出することを決意。181㎝77㎏と上背はあるが、遊撃手も機敏にこなすことができる。練習試合では木製バットで快音を響かせるなど、打撃力も着実に向上している。京都国際から7年連続高卒プロ入りの可能性も十分にありそうだ。

この冬から浮上してきた戦力は?

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