<仙台六大学野球春季リーグ戦:東北福祉大2-0東北工業大>12日◇第1節◇東北福祉大野球場
3季ぶりの優勝を狙う東北福祉大は東北工業大を2対0で下し白星発進。二回に7番・新保 茉良(まお)内野手(4年=瀬戸内)の2点適時打で先制すると、先発の櫻井 頼之介投手(4年=聖カタリナ)が9回2安打7奪三振無失点と相手打線を封じ込み逃げ切った。
新保は大学ラストイヤーにしてリーグ戦初スタメン。二回、無死満塁の好機で打席に立つと、変化球を捉え走者二人を本塁に還した。これが待望のリーグ戦初安打。勢いそのままに四回の第2打席でも内野安打を放った。また遊撃の守備でも好プレーを連発。攻守にわたって勝利に貢献した。
弟はライバル校である仙台大の正遊撃手・新保 玖和(くお)内野手(2年=霞ケ浦)。茉良が大学でくすぶり続ける中、玖和はルーキーイヤーの昨年からレギュラーを獲得し存在感を光らせた。
「兄弟なので応援していましたけど、『なんで(弟だけ)出てんねやろ?』みたいな気持ちもあって…東京ドーム(全日本大学野球選手権)で弟が結果を残した時は悔しかったです」
自身は昨年まで遊撃に島袋 皓平内野手(現・大阪ガス)がいたこともあり、出場機会に恵まれなかった。「3年間を振り返ると腐っている時間の方が長かった」と話すように練習を休んだり早退したりする時期もあり、一時は退部も頭をよぎったという。
それでも、昨年の弟の活躍を見て「最後は負けられへん」と尻に火がついた。毎朝のジム通いや守備の反復練習など地道なトレーニングに精を出し、レギュラー奪取を目標に全力で野球と向き合った。そしてチャンスを掴んだ。
3歳上の兄を含め、3兄弟そろってメインポジションは遊撃。幼少期から「全員ショートでプロ野球選手になってもらいたい」との夢を抱く父にみっちり鍛えられた。兄はすでに競技を退いたが、茉良と玖和は今も、同じリーグで「遊撃一本」で勝負している。
開幕戦の前日、「ベストナインは俺が取る」と言い合った新保兄弟。開幕戦では茉良が一歩リードした。「兄弟対決」の行く末に注目だ。