<令和7年度 春季近畿地区高等学校野球滋賀県大会:瀬田工2-0八日市>◇12日◇1回戦◇湖東スタジアム

 瀬田工八日市の一戦はともに無失策と引き締まった好ゲーム。瀬田工は4回裏に5番・平野 壱星投手(3年)の2点適時二塁打で先制すると、このリードを平野が4安打完封で最後まで守り切った。

 敗れた八日市も平野を打ち崩すことができなかったが、先発の谷川 瑠投手(3年)がストライク先行のテンポの良い投球を披露。バックも各選手が機敏な動きを見せ、3回と4回以外は相手に出塁を許さなかった。

 八日市は制球力抜群の谷川と平田 琉晟捕手(3年)のバッテリー、昨年は二塁手のレギュラーだった吉田 陽樹内野手(3年)、俊足が武器の中堅手で主将を務める種村 颯斗外野手(3年)とセンターラインに旧チームからのレギュラーが残っている。「一本出ないのが残念でしたけど、バッテリー中心に踏ん張ってくれた」と奥村 倫成監督はディフェンス面に及第点を与えた。

「攻撃面も悪くはなかったですけどね。向こうのピッチャーも良かったですけど、ちょっと荒れるので、『ファーストストライクはいけよ』って言っていたんですけど、ちょっと優しさが出ちゃったかな」と攻撃面では積極的になれなかった面を悔やんでいた。それでも秋、春ともに初戦敗退に終わったチームとは思えないほど野球のスキルは高く、夏は上位まで勝ち進んでくるかもしれない。

 奥村監督は前任校の野洲で2012年夏の滋賀大会準優勝に導いた実績の持ち主。また、今春の甲子園で優勝した横浜のエース・奥村 頼人投手(3年)の父という一面もある。

 奥村監督によると、頼人は小学生の頃から投げることに関してはずば抜けた才能を持っていたという。世代トップクラスの息子には野球に対する姿勢を説いてきたそうだ。

「顔に出したり、まだ幼い面があったので、『それはアカンぞ』と厳しくは言いました。技術的には高いですけど、天狗になるところもあったのでね。でも、横浜に行った瞬間に変わっていました。みんなのレベルが高いので、お山の大将ではやっていられないのでしょう。もうここまで来たので、後はやってくれると思います」

 息子に負けじと父も教え子の指導に全力を注いでいる。「同じ高校生なので、ステージが違うことはないと思う。何か刺激になってくれたらとはいつも思っています」と部の更なる活性化に期待している。

「滋賀県はわからない」と話す奥村監督。虎視眈々と夏を見据えている。