<仙台六大学野球春季リーグ戦:仙台大10-0宮城教育大>12日◇第1節◇東北福祉大野球場
仙台六大学野球春季リーグ戦が12日に開幕し、3季連続優勝を狙う仙台大は宮城教育大を10対0で下し白星スタートを切った。渡邉 一生投手(4年=日本航空/BBCスカイホークス)、田中 稜真投手(1年=旭川実)、佐藤 幻瑛投手(3年=柏木農)の豪華リレーで計18三振を奪い、「継投ノーノー」を達成。渡邉が「投手陣の層は全国で一番厚い」と自負するほどの実力を誇る仙台大投手陣が早速、「投手王国」ぶりを発揮した。
春の開幕投手は2年連続で渡邉。今秋ドラフト候補に挙がる最速152キロ左腕は、140キロ台中盤~後半の直球と昨秋から投げ始めたスライダー、スプリットなどの変化球を織り交ぜ三振の山を築いた。4回10奪三振無安打無失点。人差し指のマメがつぶれた影響で予定より早く降板したものの、圧巻の投球を披露した。
渡邉は「球速は寒さを考えれば上出来だし、テーマとして掲げている『150キロを投げられる変化球ピッチャー』として変化球で空振りを取れていた」と手応え十分。「ドラフトを意識しすぎた」というオープン戦期間中は調子が上がらなかったが、「あえてドラフトは気にせず、チームを勝たせることをメインに考えて投げよう」と気持ちを切り替えたリーグ戦の初戦で結果を残した。
ラストイヤーは仙台大の「エースナンバー」である背番号18を背負う。背番号18は「監督の許可が出ないとつけられない重い番号」で、該当者が現れなかった昨年は空き番になっていた。3月下旬、「今年はチームを全国一位にすべく戦う。マウンドで背中に18番をつけたい」と森本吉謙監督に直談判。許可が下り、指揮官からは「責任を持って投げろよ」と発破をかけられた。
2年前の背番号18は、現在は三菱重工Eastでプレーする川和田 悠太投手(八千代松陰)。渡邉が「師匠」と崇める元エースだ。川和田から「このピッチャーのうしろで守りたい、このピッチャーのうしろで投げたいと思ってもらえるような選手になりなさい」との教えを受けたことがきっかけで「ひとりよがりの投球」が「チームを勝たせる投球」に変化し、昨年の飛躍につながった。
「憧れている先輩。越えるためにはまずは同じ背番号をつけないといけない」と渡邉。ドラフトのことは「結果的にドラフト1位になればいい」のスタンスで頭の片隅に置き、今年もチームのために腕を振る。
また昨年までつけていた背番号14は高校時代からプロの注目を集めた最速152キロ右腕・田中に引き継いだ。その田中はこの日、渡邉の後を受け5回から登板。ルーキーらしからぬ落ち着いたマウンド捌きで3回4奪三振無安打無失点のパーフェクト投球をやってのけた。
堂々たるリーグ戦デビューを飾った田中は「自分の前に一生さん、その後に幻瑛さんが投げて、東北だけでなく日本が注目するようなリレーに混ぜてもらえた」と興奮気味。背番号14にプレッシャーを感じながらも、「一生さんの後の14番が似合うような、圧倒するピッチングができればなと思っています」と目を輝かせた。
連鎖するように好投手が育つ仙台大。名実ともに「日本一の投手陣」となる日はそう遠くないはずだ。