<春季愛知県優勝大会:時習館11―2西春(7回コールドゲーム)>◇12日◇1回戦◇豊橋市民球場

 この日から始まった春季愛知県大会。豊橋市民球場では順位決定戦で勝ち残り、東三河地区5位で県大会出場に滑り込んだ時習館と、尾張地区で二次トーナメントでベスト4に進出している西春がぶつかった。

 時習館豊橋西との代表決定戦では競り合いの末に6対4で勝利しての進出だ。西春は、昨秋には県大会ベスト16に残っており、今大会はそれ以上を目指したいところであろう。今春の二次トーナメントでは、昨秋に同じ準々決勝で対戦して敗れた修文学院を10対8で下して雪辱を果たしている。倉見徳人監督は、中京大中京が全国制覇を果たした2009年のチームのメンバーでもある。「中京野球」をベースをとして、着実なチームを作り上げていっていることで定評がある。

 試合は思わぬ形の展開になった。時習館が初回から6回まで毎回得点を奪うと、6回には大量5点を奪って11点を奪った。そして、背番号10の尾﨑 旬投手(2年)が、西春打線を7回4安打2失点に抑えた。

 時習館の彦坂 祐志監督は、「冬の間にやってきた練習の成果を出せと思います。技術的なこともあるのですけれども、気持ちの持ち方や考え方、そんな所も成長していると思います」と喜んでいた。3月の一次リーグの時には、主力が何人か体調を崩し、フルメンバーで戦いきれなかったということもあったという。それでも、何とか一次リーグを乗り切り、普段あまり試合に出ない選手の支えもあり、順位決定トーナメントに残った。そこから勝ち上がっていく中での、チームとしての成長もあったという。

 この日は、2番の金子 恵大選手(3年)が3安打、7番の曽田 瑛太選手(3年)は、4安打に二塁打も放って2打点。9番の大庭 惺也選手(2年)も、犠飛を含む3安打で3打点、さらには盗塁も3つ決め、得点にも絡んだ大活躍だった。

 彦坂監督は、「上位が当たっていなくても、こうして下位が打って行くことで点が取れることを示してくれました。ウチは気合とパッション(情熱)では、どこにも負けないという気持ちでいます。パッションはこのチームのキーワードです」と、会心の試合に喜びは隠せない表情だった。

 尾崎投手に関しては、スラリとしたスタイルで、やや線は細いかなと思えるような長身投手なのだが、「秋に比べると、スタミナもできてきたし、球もまとまってきた」と、評価していた。この日は3番左翼手として出場していた杉本 桂矢選手(3年)との2本柱に成長してきたということを実感している。

 一方の西春の倉見監督は、「まったくいいところがありませんでした。ほとんど毎回(5回以外)走者を出していましたし、四死球でリズムを崩して安打を打たれるという、一番よくないパターンの失点でした。やはり、野球は投手です。細かいところは突いていけないまでも、ストライクが取れないというのは、どうしようもないです。夏までにはもう一度修正していかないとどうしようもないです」と、初回の3四球など、投手が自滅気味だったことを嘆いていた。