<令和7年度 春季高等学校野球大会 北部地区予選:上尾7-0東農大三(7回コールド)>◇14日◇代表決定戦◇上尾市民球場

  14日、上尾市民球場では上尾vs東農大三という地区予選屈指の好カードが実現した。新人戦、秋季地区予選、練習試合で今回と、何とこの代で4度目の対戦となる。

 新人戦、秋季地区予選と上尾が勝っているが共に乱戦。対決はこれっきりにという意味合いで急遽、11月末に組んだ練習試合は東農大三がサヨナラ本塁打で勝利したが、三度抽選で上尾と再び同ブロックとなった。

 先発は東農大三が井上陽向(3年)、上尾は皆川輝生(3年)と両エースが登板し試合が始まる。

 試合はこれまでの試合同様に序盤から上尾が優位に進める。

 上尾は初回、二死から3番・皆川がレフトフェンス直撃の二塁打を放つと、続く平山道悠(3年)は四球を選び二死一、二塁とする。ここで5番・岡田脩杜(3年)がレフト前タイムリーを放ちまず1点、続く根岸英樹(3年)の打球はレフトフライかと思われたが、打球が伸び、2点タイムリー二塁打となる。上尾が幸先良く3点を先制する。

 対する東農大三は2回表、4番・畑真守(2年)、5番・東條雷士(3年)、6番・山田夏生(3年)の打球がいずれも上尾守備陣の好守に阻まれ三者凡退で終わる。

 上尾は、3回裏にも4番・平山のヒットなどで二死三塁とし、7番・渡邉光希(3年)が

「1打席目変化球を三振して、2打席目その球が頭に残ってて、喰らい付いた」

 左中間へタイムリー二塁打を放ち貴重な追加点を奪う。

 一気に突き放したい上尾であったが、その後は5回からマウンドに上がった2番手・アンダースロー川端輝樹(3年)の緩急に交わされ4対0のまま終盤へと進む。

 迎えた7回裏、追加点を奪いたい上尾は先頭の石田空(3年)、皆川のヒットなどで一死一、三塁とすると、4番・平山の所で上尾ベンチはセーフティースクイズを仕掛ける。これが見事に決まり5点差とすると、さらにその後、二死一、二塁から6番・根岸英、7番・渡邉光に連続タイムリーが生まれ勝負あり。

 投げては上尾・皆川が7回4安打無失点の好投。終わってみれば14安打を放った上尾が7回コールドで東農大三を退け県大会出場を決めた。

 東農大三は持ち味である打線が僅か4安打に抑えられ結果的には完敗。

「井上は持ち味が出せたが、甘い球を捉えられ相手の打線が上だった。皆川くんは変化球が切れていて、その球を切れずに追い込まれて振らされてしまった。さらにうちのヒット性の打球を相手の守備陣に防がれてしまった」(髙廣監督)

 白川大智(3年)、小柳克樹(3年)不在の中よく戦ったが、最後力尽きた。とにかく夏までに投手陣の整備が課題であろう。

 一方の上尾はエース・皆川に尽きる。強打の東農大三に対し、配球の工夫を行い、完封勝利を挙げた。

「直球の走り自体は悪くなかったんですが、これまでは配球が単調になり直球を捉えられていたので、今回は変化球を使いながら直球を速く見せる工夫をした」

 昨秋、東農大三戦後、浦和学院戦までに覚えた変化球を駆使し、東農大三打線を幻惑した。打線も14安打を放ったがそれよりも守備面で気迫がみなぎり好守備を連発。ポジショニングも素晴らしかった。守備の差が結果に現れた形だ。高野監督はエースの好投に目を細める。

「皆川は決して万全ではなかったが、秋の浦和学院戦で自信を持てる投球ができたので、野手に時間を割いてやってきた。コールドは想定していなかった。逆になってもおかしくない。初回の3点が大きかった。変化球への対応が良くなったかなと。守備は球際だけではなく無駄な進塁を防ぐ守備などはできていたかな」

選手を讃えると同時に

「もうやりたくない。皆川は東農大三打線が育てたようなもの(笑)」(高野監督)

と冗談ぽく本音も覗かせた。これで県大会出場が決まったが、昨秋は初戦で浦和学院戦を引き当ててしまった。

「県上位や関東を目指すには絶対的な粘り強さや低い打球を打つ徹底力など攻撃力がワンランク上がらないと」(高野監督)

 春の県大会では上位進出なるか。