前回:「勝つか負けるかの世界」で求められる体 30代の青年監督が語った、夏に勝てる必要条件 を読む

埼玉の誇る名門・浦和学院は、2021年から森大監督に交代すると、走攻守全てにおいて積極的なプレーを仕掛けていく「超攻撃野球」というスタイルを掲げた。その第一歩として、「夏バテしない体づくり」ということを体づくりのテーマに設定。夏の連戦に強い、勝てる体になるために必要なメニューを考えて、取り組みを見直したという。

「当時の浦学の時から、長距離などの走り込みによるオーバーワークは課題でした。
長距離は心を強くするためにも、必要だと思っています。けど、やり過ぎてしまって体が疲労してしまったことで、短距離が苦手な選手も多かったのが課題でした。でも、こだわって多くやっていた動物の動きをイメージした、クリーチャートレーニングや、やり続けてきた瞬発力強化のメニューを変えるのではなく、食事と休息とのバランスを意識しました」(森監督)

体が100%のパワーを発揮できるように、フィジカルを調整。加圧などを活用して回復に努めるなど、ベストな状態で戦えるように、チームを毎年仕上げるようにしてきた。とはいえ、休息が多すぎても、思ったようなプレーを発揮できず、夏の暑さにも強くなれない。だから、森監督が「夏バテしない体づくり」に求める要素は2つある。

「瞬発力と持久力を融合させたスピード&パワーですね。イメージ的には、短時間で高加速を求める海外の高級車・ランボルギーニみたいな感じではなく、安定して長時間持続して走れる強さを兼ね備えたスポーツ車・SUVのようなパフォーマンスを発揮できる選手をイメージしています」

トレーニングの充実によって、球速向上をはじめ、スピード化が進んでいる高校野球界にとっても、大きなエンジンを搭載して爆発的なパワーを生み出すだけではなく、常にハイパフォーマンスを発揮する強さと速さ。この2つの両立はどの学校も必要な要素だ。

そういった点から考えても、トレーニング、フィジカルの重要性は高く、浦和学院がすでに実践しているように計画的かつ具体的なメニューを組んでいくことが、より求められる時代になるだろう。

続き:NPB指名クラスのじゃないと「全国で勝負できない」 浦和学院が目指す体づくり を読む

【フィジカル強化でかっ飛ばせ特集】のアーカイブはこちら
第1回:270チーム以上で実施!メジャーリーガーも経験した、30年以上の歴史もつ体力測定・ゼット測定が凄い...
第2回:高卒ドラ1選手は500キロ弱増量!急成長する選手・チームが示す、体力測定の重要性ってナニ?!
第3回:「オフシーズンには体重と体脂肪を増やして」!一冬で上手くなるための極秘ポイント
剛腕、アーチスト、スピードスター...理想の選手へ、フィジカル強化で欲しいスキルをゲットだぜ!
番外編:令和の高校野球に「体の強さは必要不可欠!」 浦和学院の青年監督が考える、酷暑、新基準バットに適応する条件
「勝つか負けるかの世界」で求められる体 30代の青年監督が語った、夏に勝てる必要条件
海外の高級車みたいじゃなくて… 浦和学院の青年監督が考える、令和の選手に求めるフィジカル
NPB指名クラスのじゃないと「全国で勝負できない」 浦和学院が目指す体づくり
ドラフト候補もかつては「体が弱かった」…浦和学院の青年監督が実践した常勝チーム、逸材の育成プラン