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これまでに春夏合わせて26回甲子園に出場し、甲子園でも1回の優勝を経験している浦和学院。名門校にふさわしい実績だが、その裏側にはたゆまぬ練習量があってこそ。前監督である森士氏のもとで、クリーチャートレーニングと呼ばれる動物の動きをイメージしたトレーニングなど、厳しい練習を通じて選手たちの心身を鍛えてきたからこその功績である。

その森士前監督を引き継ぎ、2021年に監督となった森大監督も、創意工夫を凝らしながら、選手たちを育て上げている。

「まずはインボディを使った体重測定を月1回、大会時は週1回必ずやっています。このときに出てきた除脂肪体重などの数字をグラフ化して管理してあげて、増減の推移などを見ながらフィジカルの管理をしています。もし仮に減量してしまっている場合はトレーニングを組みなおして、もう一度ベストな状態まで体を作り直す感じです」(森監督)

ただ、いま取り上げたのはチーム内で出来るフィジカルへの管理・調整に関する取り組み。浦和学院の場合、トレーニングについてはあらゆる測定をして、パフォーマンスを数値化していると森監督は話す。
「以前まではトレーニングも含めて、練習量を積むことで鍛えてきましたが、オーバーワークになっている部分もありましたし、スピード感や柔軟性に欠けているところがありました。ですので、外部の方に協力してもらって、測定を実施しました」

270校近くが受けていることでも知られているゼット社が実施している、アスリートテスト。通称、ゼット測定をはじめとしたものを浦和学院は受けることで、選手たちの育成プランを立てるのだ。

「夏までに『夏バテしない体』というのを目指して、まず年間計画を最初に立てます。そのうえで測定結果に基づいていくつかのグループ分けをしてあげて、その子たちに合ったメニューを1ヵ月、1週間ごとくらいのスパンを組んであげます。そこまでやらないと、その選手をどんなタイプに導いてあげればいいか、ビジョンが描けない。そこが間違ってしまうと、思っていないタイプになってしまうので、ある程度ビジョンを描けるようにしています」(森監督)

ゼット測定で算出される総筋量と呼ばれる、ベンチプレスやスクワットなどをすべて合算した数値を基準に活用。高卒NPB指名の目安とされている1000キロを目安にして、フィジカルを強化している。

「そこの基準を超えれば甲子園に行けるわけではない。ただ、メンタルや技術の領域で勝負するには、フィジカルだけでもそれくらいの数値を出さないと、全国で勝負できない。確率のスポーツである野球において、勝率を上げるにはフィジカルだけでも全国の舞台で勝負できるレベルまでもっていかないといけないので。
課題でもあるスピード強化1つとっても、選手それぞれが持つ出力を高めないと、スピードアップにはならないと思うんです。なので、総筋量を基準としたフィジカル強化を大前提とし、メンタル、技術の3つのバランスは重要視しています」(森監督)

この夏は準々決勝・春日部共栄に敗れたが、決してフィジカルで劣っていたとは感じておらず、「本多監督にとって最後の夏というところもあり、共栄の選手たちの底力や、球場の雰囲気によってメンタル的に焦ったり、細かな技術の差や精神力の部分で屈してしまったと思っています」と振り返る。

だからこそ、「あとはメンタルや技術が噛み合ってくれば、結果も出ると思っている」と、少し自信をのぞかせた。新チームも、心技体の3つを兼ね備えた強力チームになる予感が漂う。やはり浦和学院の躍進からは、目が離せなそうだ。

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