◇第155回九州地区高校野球大会鹿児島県予選・1回戦◇川辺・串木野・薩摩中央・鶴翔・古仁屋・喜界(連合②)11―4種子島中央(7回コールド)◇鴨池市民球場◇24日

連合②は初回、3番・岩下一馬(2年・鶴翔)の左越二塁打で先制した。

種子島中央は2回裏に6番・濵脇拓海(1年)の中越え二塁打で同点に追いつく。

3回表、連合②は二死から2番・繁山常久(2年・喜界)が内野安打で出塁し、3番・岩下の右越え二塁打を皮切りに、四球を挟んで7番・橋本紅庵主将(2年・串木野)の中越え二塁打まで計5安打を集中し、大量5得点のビッグイニングを作った。

4回には3番・岩下が3打席連続長打となる中越え2点適時二塁打で更に点差を広げた。

7回には7番・橋本、8番・篭原崇太(2年・川辺)の連続適時打で3点をダメ押した。先発のエース山本虎士朗(2年・喜界)は丁寧に打たせてとる投球でリズムを作った。

7回裏、後がない種子島中央は5安打を集中して3点を返したが、山本が最後の打者を見逃し三振で打ち取り、コールド勝ちを決めた。

 最北端の鶴翔がある阿久根市から、最南端の[team]古仁屋がある瀬戸内町まで、直線距離にして約440キロ。大島、南薩、北薩の3地区にまたがる6校からなる連合②が、鮮やかな集中打でコールド勝ちした。完投したエース山本は「勝てたことが本当にうれしい!」と勝利の喜びをかみしめていた。

 宮元球児(1年)、繁山、喜界の1、2番コンビ、9番・川崎良徳(2年・古仁屋)、奄美の選手が出塁して好機を作り、4安打4打点と爆発した3番・岩下(鶴翔)、2本の二塁打を放った4番・山口慶将(2年・薩摩中央)、4打点の7番・橋本主将ら、本土の選手が打って返して得点を挙げる。そのリードを、エース山本を中心に粘り強く守る。持ち味を随所に発揮した会心の勝利だった。

 本来なら14日からの3連休で合同練習を組むつもりだったが台風のため中止。その穴を少しでも埋めるべく、19日にはZoomでミーティングしてお互いに自己紹介をした。

 実際に顔を合わせて練習したのは開会式のあった21日の午後に約2時間のみ。22、23日は雨で順延となったが、決定が出るまで球場で待機する時間にコミュニケーションを図ったという。

山本はバッテリーを組む山口とブルペンで投球練習をしたり、配球などを熱心に語り合った。古仁屋は中堅手・川崎がただ1人。「自分が足手まといにならないか、心配だった」不安もあったが、右翼手・橋本主将、左翼手・松井悠太(2年・薩摩中央)の3人に捕手・山口の4人で、各打者の守備位置を確認するなど、積極的にコミュニケーションをとった。無安打だったが4回には先頭打者で四球を選んで出塁し、追加点のきっかけを作るなど「最低限の仕事はできた」。

 やれることは極々限られていたが「9人で野球ができる喜びを味わい、思う存分楽しむ」(濱涯聡監督・串木野)ことに徹した。知り合って1週間にも満たないチームだが「勝つという目的を共有していた」(川崎)ことが勝利に結びついた。勝てたことでまたこのチームで野球ができる。エース山本は「できたことはもっとできるように、できなかったことが少しでもできるように、全力を出して次も勝ちたい」と闘志を燃やしていた。