<埼玉県大会準々決勝:浦和実4-0浦和学院>26日◇準々決勝◇県営大宮球場
7回二死までパーフェクト投球の圧巻投球。優勝候補・浦和学院撃破の立役者は間違いなく浦和実のエース石戸 颯汰(2年)だ。他には経験豊富の左腕・駒木根 琉空(2年)がいるが、この大一番では練習試合から強豪校相手に好投を続けている石戸が抜擢された。辻川正彦監督が石戸を起用した理由について次のように明かす。
「浦和学院戦を控えて、記事やYouTubeなど色々なものを見たけど、見れば見るほど頭が痛くなってきて(笑)。ただ上尾の投手が制球良く直球と変化球で内外角を突いて抑えたという情報があったのでシンプルにそれで行こうと。力と力では絶対無理、かわそうと思ってもかわせないから。逃げたら終わる。あくまで気持ちは向かっていくこと。夏休みの練習試合で創価、国士舘、東海大菅生、日大二、堀越などに勝って東海大菅生戦は石戸が完投勝利。だから石戸がちゃんと投げればとは思っていた。ただ、石戸3回、駒木根6回というイメージだったけど。石戸は凄いボールを持っているわけではないが丁寧に投げていた。嵌るならああいうピッチャーなんだろうね」
石戸の想像以上の出来に目を細める。石戸は、「このフォームになったのは中1の終わり頃。最初L字ステップで投げてみたんですが、上半身と下半身がバラバラになったので思い切って足を高く上げてみたらしっくりきた」(石戸)と、オーバースローだが、投げる際に足を高く上げる独特なフォームが特徴的な左腕。直球はMAX130km前半程だが制球、質が良く、変化球のコンビネーションも良い。強打の浦和学院打線を相手にしても臆せず、「元々あそこまで投げる予定はなくて、5,6回の予定だったんですが、調子が良かったので投げ切れました。全体的に制球がまとまっていて、コースも高さもある程度思い通り投げられた。2巡目に入ってから、初球の緩いボールでファーストストライクを取れたのは大きかった」と、冷静に振り返る。
打線も浦和学院の先発、1年生左腕・城間 琥珀に対し、2回表、二死から工藤 蓮(2年)、橋口 拓真(2年)、深谷 知希(2年)の3長短打で2点を先制すると、4回にもこの回先頭の三島 陽之介(2年)、野本 大智(2年)、工藤の3連打に石戸のタイムリー等でさらに2点を追加し4点差をつける。
「4点をもらって楽になった。(フライを打ち上げて)相手はタイミング合ってないなと思って」(石戸)と、7回二死までパーフェクトの好投。最終回、エラーと死球で無死一、二塁のピンチを招くも後続をきっちりと打ち取る。結局、石戸が浦和学院打線を2安打完封し浦和実が4対0で勝利し準決勝進出を決めた。
浦和実は今夏、元々2年生中心で戦っていた。石戸、駒木根の2枚はもちろん、打線も大半は夏を経験している。
「これまで全くメディアの露出がなくて世の中をビックリさせてやろうと。駒木根も状態は上がっている。次戦はとにかく守ること。打ち合いになったら厳しいので投手がどれだけ抑えられるか。あとは先制できるか」(辻川監督)
「エースナンバーをもらって自分が常に最小失点で抑えることは意識している。目標は関東なので次も勝ちたい」(石戸)と、監督、選手共に虎視眈々と関東大会出場を狙っている。次は山村学園討ちなるか。