9月1日まで首位を走っていた広島は、この9月で大失速。最大14あった貯金はすべて消えて、26日に借金。27日はサヨナラ勝ちを収め、再び勝敗を五分に戻したが、優勝は巨人が決定的。CS進出はDeNAと争う状況だ。それでも今シーズンに台頭し、来季に期待が持てる選手が現れたのは確かだ。
まずショートの矢野 雅哉(育英出身)が一本立ちした。今年が4年目の矢野は序盤こそ代走や守備固めでの出場が多かったが、4月5日からはセカンドかショートでほぼ毎試合スタメン出場。6月14日からは完全にショートでの出場となり、6月29日からは全試合スタメンで起用されている。
昨年までは打撃面に課題があったが、それも克服した。2年連続で1割台だった打率が上昇。得点圏打率は昨年の0割4分2厘から2割9分5厘と劇的に改善。8月22日の巨人戦では延長10回に高めに投じられた154キロのストレートを弾き返し、決勝タイムリーを打ったり、9月22日の中日戦では涌井 秀章投手(横浜出身)からNPB新記録となる22球を投げさせたのも話題となった。一級品の守備だけでなく打撃も加わったことで、チームに欠かせない存在となった。
投手では黒原 拓未(智弁和歌山出身)が戦力となり、塹江 敦哉(高松北出身)が復活した。2021年ドラフト1位の黒原は2年間に渡って結果を残すことができなかった。しかし今年は51試合(先発2試合)に登板し完全な勝ちパターンではないものの防御率1.73と安定している。奪三振率も10.20とチーム2位だ。
一方の塹江は2020年、2021年と2年連続で50試合以上に登板するもその後は低迷。昨年は8試合の登板で防御率5.14と戦力になれなかった。しかし今年は53試合の登板で2勝0敗16ホールド、防御率1.58と完全に復活している。
歴史的な大失速したとはいえ、この3人の台頭は大収穫。黒原、塹江は来季も中継ぎとして稼働し、矢野も2年連続で規定打席到達。さらに打撃成績を伸ばせば、球界を代表するショートと呼ばれる存在になりそうだ。