<秋季神奈川県大会:東海大相模 5ー0 横浜清陵>◇28日◇準々決勝◇サーティーフォー保土ケ谷球場

 夏の甲子園ベスト8の東海大相模は手探りの試合が続いている。準々決勝では頼みの好打者・中村 龍之介外野手(2年)が体調不良でベンチスタート。この1週間は静養でほとんど練習ができていないという。さらにセカンドの柴田 元気内野手(2年)も欠場が続いている。ベストメンバーで臨めていない状況ながらも秋は県大会準々決勝まで勝ち進んだ。

 投手陣では150キロ右腕・福田 拓翔投手(2年)が絶対的なエース。原俊介監督は福田以外の投手陣を大会に入って育て上げるかをテーマにしている。福田を除くとベンチ入りは左腕が目立つ。スライダーのキレがよい島村 宏斗投手(2年)、キレの良い直球を投げる菅野 悠投手(2年)、そして1年の三渡 琢真投手はこの2人以上のキレのあるストレートを投げる投手として評価が高い。

 その中でも最も安定感があるのが島村だ。これが3試合連続での先発となった。島村は左スリークォーター気味からの投球フォームから120キロ台後半の速球、110キロ台前半のスライダー、100キロ台のカーブを丁寧に投げ分けて打たせて取る。大崩れをしない投球が持ち味だ。原監督は「横浜清陵さんは機動力を仕掛けるのが上手いチーム。三渡を経験させてあげたいところなのですが、いくら潜在能力が高くても、経験がない投手はうまくやられて頭が真っ白になってしまう。それを考えると落ち着いて投げられて、ゲームを作れる島村を投げさせました」と起用の理由を語る。

 島村は6回途中まで投げて無失点の好投。最低限の仕事は果たした。その後は福田が無失点の投球を続け、投手陣は盤石だ。

 ただ打線はなかなか波に乗れない。3回裏にサードベースに当たるヒットと相手のエラーで3点を先制したが、8回まで追加点を奪うことができなかった。8回には体調不良で代打のみの起用となった中村が1スイングだけで三塁打を放ち、2点を追加し、天才と評される打撃センスを発揮した。やはりこの男がいるだけでも打線の厚みが違うだろう。原監督は「しっかりと体調を整えて、練習をして、準決勝に臨んでほしい」と復活を願っている。

 手探りの状況の中でもベスト4入り。原監督は「試合にあまり出られなかった選手が経験を重ねて勝つことはとてもいいこと」と評価する。勝てば関東大会出場が決まる準決勝では、主役の活躍が不可欠。相手は準々決勝で9回に3点差を追いついて、サヨナラ勝ちを決め、勢いに乗る平塚学園だ。これまでの試合を見ると、打ち損じや走塁ミスが見られる。やはり雑な攻めは許されないだろう。投手起用について原監督は「しっかりと練習をして、その上で選手たちの動きを見て、考えたいと思います」とコメント。

 昨秋は準決勝で横浜に敗れて関東大会を逃している。選手たちの真価が問われる試合となりそうだ。