<令和6年度第77回秋季千葉県高等学校野球大会:拓大紅陵3ー2日体大柏>◇29日◇準々決勝◇千葉県野球場

 拓大紅陵が2年ぶりのベスト4を決めた。この4年間では3度のベスト4入りと県内では突出した安定感を誇る。まず投手陣が安定している。先発マウンドに登ったのは3回戦で登板がなかった右腕の堀込 龍投手(2年)だったが、5回途中まで無失点の好投。常時130キロ〜135キロの速球、スライダーをテンポよく投げ込む右腕で大崩れもせず、試合が作れる。控え投手として頼もしい存在だ。

 5回、ピンチを招いたところで、堀込は降板、1年生左腕・宮澤 和聖投手が登板する。宮澤はシニアの強豪・静岡裾野リトルシニア出身。浦和学院に進んだ本格派右腕・伊藤漣投手(1年)とともに2枚看板を組んで、ジャイアンツカップ準優勝を経験している。野球センスがかなり高い投手だ。横回転の動きからスリークォーター気味のフォームで投げており、腕の振りと体の回転が一致しているので、体への負担も少ない。ストレートは常時120キロ後半〜134キロと技巧派の投球スタイルだが、回転数は高く、腕の振りもしなやかで、フィジカル強化がうまくいけば、速球投手へ化けそうな予感がある。

 スライダー、チェンジアップの精度も高く、リードする 加藤 玄竜捕手(2年)は「度胸も強く、コントロールもよくて頼もしい」と信頼を寄せる。5回裏には自慢の俊足を活かし、内野安打。さらに盗塁を決めた。3回戦の習志野戦でも適時打を打っており、打撃力も高い宮澤。野球センスの高さは一級品で、将来は日本ハムの中継ぎとして活躍する堀瑞輝投手(広島新庄)のような速球投手として育ちそうだ。

 試合は3対0のままリードを広げたが、不用意にストライクを集めてしまい、8回表、一死満塁のピンチを招いたところで降板。マウンドに登ったのは、背番号1の中村 怜人投手(2年)。右スリークォーターから常時130キロ中盤の速球、スライダーを投げ分ける投手だ。中村は先頭打者にライトへ大きな当たりを打たれるが、ライトの平山 颯大外野手(2年)が背走しながらキャッチ。犠飛となったが、抜けていれば同点になっていた当たりで非常に大きなプレーだった。

 主将の加藤は「中村、宮澤、堀込と3投手がいいので、どうやって守りで盛り立てることができるかを考えて、夏休みでは守備をしっかりとやってきました」と語る。平山は「フライは苦手でしたが、しっかりと練習をして捕球できるようになりました」と胸を張る。

 終盤では2併殺に打ち取るなど、内野守備も非常に堅い。打線は3得点に終わったが、習志野戦では5回コールド勝ちを収めるなど、非常に打線の状態も良い。各打者のスイングに癖がなく、しっかりとコンタクトできる打者が多い。3番を打つ平山は「低く強いライナー性の打球を打つ。これを大会でもしっかりと実践できている」と語る。

 シートノックを見てもスローイングが強く、外野手は控え選手も肩が強く、走攻守すべてにおいて鍛えられている。関東大会まであと1勝。緻密な野球で3年ぶりの出場を決める事ができるか注目だ。