<秋季群馬県大会:健大高崎7―0前橋商(8回コールドゲーム)>29日◇準々決勝◇小倉クラッチ・スタジアム桐生球場

 今年の春のセンバツで、ついに悲願の初全国優勝を果たした高崎健康福祉大高崎(健大高崎)。盤石の二枚看板の投手力が光った守りの勝利でもあった。そして、夏も群馬大会を制して春夏連続甲子園出場を果たしている。今や、群馬県内で最も安定した力を示している存在といっていいであろう。

 その健大高崎と夏の群馬大会決勝を争ったのが前橋商だ。全国的に公立校が活躍していくのは、なかなか厳しい状況にある中で、大健闘していると言っていい。夏は、健大高崎に1対5で敗れているだけに、前橋商としてはなんとか雪辱を果たしたいところだ。

 なお、健大高崎の青栁博文監督と前橋商の住吉信篤監督は前橋商で青栁監督が2学年上だったという先輩後輩の間柄でもある。普段は、交流もあってお互いに行き来もしているのだが、勝負はこのところは住吉監督にやや分が悪い。

 全国から有望選手が集まってくる健大高崎に比べると、基本は地元出身の選手で固めていかざるを得ない前橋商である。伝統校でもあり、地域では人気の実業校でもあるのだが、昨今の状況から選手獲得に苦労している。それでも、毎大会のように上位に進出していかれるチームを作り上げてきているのは流石といっていいであろう。

 前橋商は、ロースコアで競り、終盤に得点して逃げ切るという戦い方ができるかどうか。

 初回、2回はお互いに安打も出て塁を賑わせてもいたが、健大高崎は左腕下重 賢芯投手(2年)、前橋商は堤 雅翔投手(2年)がともに粘りの投球で踏ん張っていた。しかし、2巡目となった3回、健大高崎は1番からの好打順を生かして先頭の加藤 大成主将(2年)が左前打するとわずかなスキを突いて二塁を奪う好走塁。このあたりの健大高崎のソツのなさは健在だ。バントで三塁へ進んで二死三塁から4番佐伯 幸大選手(2年)が中前打で還して先制。さらに、続く栗原 朋希選手(2年)も右中間二塁打してこの回2点。

 その後も健大高崎は4回、5回と二塁打がでて複数走者を溜めて得点機を得ていたが、あと一本が出ない、いささか歯がゆい状態で拙攻が続いた。

 それでも6回、またしても1番からの好打順で、加藤主将が左前打して出るとバント失策で一、二塁。しかし、送りバントが飛球になり、またも得点機を逃しそうな空気でもあった。ところが、ここで思い切って重盗を敢行して決める。直後に4番佐伯選手が右線へ2点タイムリー二塁打。これで4対0となり、試合の流れは健大高崎のものとなった。

 7回にも加藤主将の右中間三塁打などでさらに2点を追加。加藤選手はこの日は4打数4安打、打点1得点2と大活躍だった。「甲子園で負けた後、新チームへの準備になったのですが、自分が引っ張って行かなくてはいけないという意識があったので、主将に指名されて気持ちはさらに引き締まった」と、自分の役割も承知している。

 結局、健大高崎は8回にも3安打で1点を追加してコールドゲームとした。

 青栁監督は、「去年のチームのような大型な破壊力はないけれども、エンドランなども駆使して機動力を生かしたりして以前のウチらしい戦い方は出来るチームです。野手は入れ替わりましたが、投手は残ったので、ある程度の戦いの目安は立ちます」とこの秋のチームを分析していた。そして、この日の下重投手と山田 遼太投手(2年)に関しては、「下重はテンポよく、投げてくれた。山田はコントロールがいいので、安心していられる。そんなに連打を浴びるタイプではないと思う」と、全国的にも注目のエース石垣 元気投手(2年)に続く投手陣も、順調に整備されていっているという感触のようだった。

 これで、健大高崎は秋季県大会では15年連続でベスト4進出となった。これは、凄いことである。