<秋季埼玉県大会:浦和実9-1西武台>29日◇決勝◇県営大宮球場
花咲徳栄、昌平と上位シード校が早々に敗退。前評判の高かった浦和学院、春日部共栄も既に敗退と波乱含みの今大会の主役、浦和実と西武台。勝てば共に初優勝となる決勝。勝つのはどちらか。
先発は浦和実が前回浦和学院を完封したエース・石戸 颯汰(2年)。一方の西武台は背番号11の右腕・金澤 拓未(2年)が登板し試合が始まる。
浦和実は初回から一死後、山根 大智(2年)、三島 陽之介(2年)、野本 大智(2年)の3連打で1点を先制すると、2回も橋口 拓真(2年)のヒットなどで二死二塁から齋藤 颯樹(2年)がタイムリーを放ち2点目。
西武台は3回から前日完投し連投となる加藤 爽翔(2年)が登板するが、この日は誤算。
浦和実は西武台・加藤爽に対し、3回に打者10人の猛攻で6長短打を集中し5点を奪い7点差をつけ試合の大勢は決した。
投げては浦和実・石戸が西武台打線を寄せ付けず5安打完投。
結局、浦和実は17安打と打線が爆発し9対1の大差で西武台に勝利し初優勝を飾った。
西武台はこの日大敗。エース追木 渉登(2年)が怪我でほとんど投げられない緊急事態も加藤爽と吉良 敏信(2年)が台頭した。県初戦、吉川翔馬(2年)擁する浦和麗明戦で勝利すると、その後立教新座、狭山ヶ丘を破りハイライトは春日部共栄戦。最終回の逆転勝利は見事であった。
「強かったです。序盤の守備のミスが全て。加藤爽と吉良はメドが立っていて、この2枚だけだと厳しいので、金澤は3イニングどう作れるかと思って送り出したんですがまだまだ。加藤爽は緊急登板的な所がありましたが、高めに浮いてそれを捉えられた。セーフティースクイズはわかっていて防げなかった所が課題。向こうの方が上手かった。ちゃんと流れに沿ってプレーしていて。石戸君は大野泰輝(2年)君ともタイプが違って変化球が決まっていて立ち遅れた。ただ対戦できてよかった。追木ありきのチームだったのが、追木抜きでここまで来れたのが大きい。関東まで1ヶ月あるのでもう一度自分達の野球を。関東は埼玉県の責任を持って戦いたい」(河野監督)と、逆境にここまで勝ち上がった。前回の関東はエース増田優真を擁しベスト8で健大高崎にサヨナラ負け。残り1ヶ月、チーム内の競争を促すべくメンバーの入替を示唆した。
一方の試合巧者・浦和実は大会序盤、地区予選の蕨戦で辛勝、県初戦の埼玉平成戦は延長の末勝利と苦戦の連続。だが、聖望学園戦で勝利し手応えを掴むと浦和学院戦に勝利し勢いに乗った。
「4回目の挑戦だったのでホッとしている。今日も石戸がよく投げてくれた。横から見ていると普通の投手なんだけど石戸って打ちにくいんだろうね。野本がよくリードしていた。石戸の調子はボチボチ。聖望戦と同じくらい。飄々としている。元々それなりに戦える自信はあったが、聖望戦に勝って、浦学戦は奇跡。準決勝以降は自分達の野球ができた。サインなどは田畑部長と相談して決めている。橋口、深谷のセーフティースクイズは自分が相手監督としてやられたらダメージが大きいプレー。分かっていてもなかなか防げない。守りはファインプレーはいらない。確実に。送りバントもそう。過去2回しくじっているんで3度目の正直で。優勝して2位校とやれるのは大きい。どこが出てきても強いのはわかっているのでずっとやってきた野球をやる。それぞれの役割、自分の仕事を徹底する全員野球で」(辻川監督)と、初優勝を噛み締めるも、頭は既に関東大会へ向いている。
今大会から投票でのシード決定ではなく夏の4強が秋の4強となったことの影響もあり波乱含みとなった今大会。前評判の高かった浦和学院がその結果ノーシードとなり花咲徳栄の山に入り上尾、川越東などと潰し合いに。勝ち上がった所で浦和実に苦杯を舐めた。本多監督が最後の秋の春日部共栄は順調に勝ち上がるも準決勝に落とし穴が待っていた。来春のシードは南部4、西部3、東部1。春以降の北部地区の奮起に期待したい。
浦和実は浦和学院を、西武台は春日部共栄を破っての決勝進出だけに力はある。あとは一段階レベルが上がる関東大会で普段通りの力を発揮することができるか。それにかかる。