<令和6年度秋季近畿地区高等学校野球滋賀県大会:滋賀短大付6-2綾羽>5日◇準決勝◇マイネットスタジアム皇子山

 創部16年目の滋賀短大付が初の近畿大会出場を果たした。

 滋賀女子から2008年に共学の滋賀短大付と校名が変わり、翌年に野球部が創部。2016年夏の4強がこれまでの最高成績だった。

 創部当初から指導に携わってきた保木 淳監督は「今日は1期生から13期生のほとんどが応援に来てくれました。ボール1球もないところからスタートして、ここまでつながってきたし、その子たちの前で県の上まで来られたところを見せられて非常に嬉しく思います」と感慨深げに語った。

 夏の滋賀大会でベンチ入りしていた2年生はエース左腕の櫻本 拓夢と4番捕手の大窪 玲輝だけ。彼らもレギュラーではなく、新チームはレギュラー総入れ替えとなった。

 能力的には「ここ3年で一番弱い」と保木監督は言うが、「それを自分たちでわかって、みんなでまとまってやろうとか、一つのことを徹底してやろうという意識は強い学年です」とまとまりのあるチームだ。

 その意識が見えたのが攻撃面。打席では殆どの打者がバスター打法を試みていた。その意図を保木監督はこう語る。

「シンプルに打てないので、打撃の基本ですけど、トップを作って待って、割りを作って打つというのが自動的にできるので、それを意識してやるというのと、前半からやっていたら、後半の勝負所で『どうせバスターだろう』というところでバントが決まったりするんです。布石を打つのと単純に打力がないので、少しでも打てるようにという工夫というところですね」

 その作戦がピタリとハマったのが2対2の同点で迎えた7回表、二死一、三塁のチャンスで2番・加藤 龍之介(2年)にセーフティバントのサインを出す。

「一塁のプレスが弱かったので、一塁側しか狙っていませんでした」と加藤は投手と一塁手の間にドラッグバントを決めて勝ち越しに成功。結果的にこれが決勝点となった。

 9回2失点で完投した櫻本は最速125キロの小柄な左腕。120キロ前後のストレートと100キロ台のカーブを駆使して凡打の山を築いた。守備陣も5試合で失策は1つだけ。櫻本の丁寧な投球に応えて、堅い守りを見せている。

 決勝の相手は夏の甲子園8強の滋賀学園。「僕らのできることをやって勝ちたいと思います」と1番二塁の森伸文(2年)は意気込む。歴史を切り拓く快進撃はどこまで続くだろうか。