<第155回九州地区高校野球大会鹿児島県予選:神村学園8-1出水中央>5日◇準々決勝◇平和リース球場
出水中央は初回、2者連続三振だったが、3番・坂口 楓(2年)、4番・浦崎 寛大(2年)が連打、四球で満塁とし、6番・岩崎 正門主将(2年)が左前適時打で先制点を挙げた。
神村学園が県大会で失点するのは夏の鹿児島大会初戦の鹿児島商戦以来。それだけ県内では無双を誇っていたことの証左である。
良くない立ち上がりだったが、その裏、一死満塁から6番・早瀬 朔(2年)が右前適時打を放って同点。続く7番・窪田 瑶(2年)の二ゴロが悪送球となり、2点を勝ち越し。暴投で3点差とし、1番・國分 聖斗(1年)が中前適時打を放ち、打者10人で5得点のビッグイニングを作った。
4回裏には連続四死球、送りバントで二三塁。5番・山本 瞬(2年)のスクイズが内野安打となり、6番・早瀬も左前適時打で続いて、2点を追加した。
7回には二死二塁から代打・小山 琳太(2年)が左翼線二塁打を放ち、コールド勝ちを決めた。
先発の早瀬は2回以降立ち直り、追加点を許さなかった。
県大会で久々に相手に先制された神村学園だったが、終わってみれば7回コールド勝ちと地力の差を発揮した。安打数は神村学園10、出水中央8とそれなりに打たれているが、失点は初回の1点のみ。「守備の差」(小田 大介監督)が勝敗を分けた。
初回に二死から3安打集中されて先制されたが「むしろ1点でよくしのいでくれた」。1、4、5回と3度連打を浴びているが、初回以外は無失点。4回は二塁けん制で二走を二三塁間で挟んでアウトにしている。圧巻は5回。無死一三塁のピンチを招いたが、3番・坂口を三振で打ち取り、リードをとっていた一走を捕手・山本が刺して三振併殺をとった。
夏の甲子園4強から約1カ月あまり。チームはまだ手探り状態であり、打順も3番・今岡 拓夢主将(2年)以外は順番も、メンバーも入れ替えながら適性を見極めている。そんな中でもエース早瀬、右腕・千原 和博(2年)らを中心とする投手陣が安定しており、4試合で2四死球しか与えていない。
大事にしているのは「コミュニケーション」。監督も、ベンチも、野手同士も盛んに声を出し、チームとして勝つためにどんなプレーをするべきかを絶えず確認している。
5回に三振併殺をとった直後は、「ホーム!」と一塁手・高木 竜之介(2年)に厳しい声が飛んだ。併殺をとれた喜びで舞い上がってしまい、三走がホームに走るのを警戒するのを怠った。こういった細かい部分の積み上げが、全国を目指すチームになる上では欠かせない作業だ。
試合後は、国民スポーツ大会へ出場するため、佐賀へ向かった。6日に甲子園優勝の京都国際と対戦する。メンバーは3年生が中心で「センバツがかかったこちらの方が大事ですから」と小田監督や、今岡主将、早瀬、入耒田 華月(2年)らは鹿児島に残って、10日予定の準決勝に備える。目指す「5季連続甲子園」に向けての「第一関門」に向けての準備を万全にして臨む。