<秋季東京都大会:東京11―5東京実>5日◇1回戦◇JPアセットスタジアム江戸川球場

 ともに大田区の東急多摩川線沿線に学校があり、グラウンドも多摩川べりの河川敷を利用している近隣校対決だ。同じ学校法人上野塾の系列校同士でもある。

 東京は1872年創立で152年という歴史を有する。東京実も、その50年後の1922年に当時の5年制商業校として設立され、102年の歴史となっている。

 東京はラグビー部が強豪校として花園にもよく出場しているし、陸上部も強豪だ。野球部もシード校として迎えたこの夏は、初戦で上野学園を7対2で下すと立教池袋も下してベスト8進出。準々決勝でも日大豊山に延長11回タイブレークの末に6対5で下して4強入りした。準決勝では帝京に敗れはしたものの、チームとしては確実に一つ上のステージで戦えた実感はあったはずである。そのチームからは、石川虎次郎内野手(2年)と背番号10番をつけていた左腕松本恒星投手(2年)が残ってチームの核となっている。

 東京実は、“東東京の大モノ食い”という存在で、強豪校には恐れられる。この夏は2つ勝ったが4回戦で実践学園に敗れた。秋のブロック予選では豊多摩海城をいずれも2桁のコールド勝ちで無失点で勝ち上がっての進出となっている。

 僅差の好勝負が期待されたが、初回の攻防で東京が三本の二塁打などを集中して5点を奪い大きくリード。先発の背番号5の佐藤信彦投手(2年)をマウンドから降ろした。いきなり大量5点が入り、思わぬ展開となってしまった。

 東京は2回にも二死走者なしから3番中野良輔選手(2年)と上條紗埜介選手(2年)の連続二塁打で加点。3回に東京実も1点を返すが、その裏東京はさらに2点を追加。ここまでで8対1と東京がワンサイド気味のスコアでリードしていく展開となった。

 4、5回にも東京は1点ずつ得点を重ねる。

 それでも、東京実も何とか反撃して、コールドゲーム寸前の7回表に、3回途中から3人目の投手として遊撃手からマウンドに登っていた1番嶋崎智慧選手(2年)が一二塁から中越二塁打を放ち、さらに連打もあって3点を返してコールドを回避する。

 結局8回にも1点ずつを奪い合った形で、試合としては乱戦気味のスコアになってしまったが、東京が6点差で東京実を下した。東京は、先発した松本恒星投手(2年)が7回二死まで投げて、その後を海老原優斗投手(2年)が、凌ぎ切った。

 東京の松下浩志監督は、手の内を知っている相手だけに、「前半で大きくリードはしましたけれども、相手の力も知っていましたから、このままは行かないぞということはベンチでも言っていました」と、最大10対1と開いても油断はならないと感じていたという。実際、反撃されてしまったところもあった。

 夏のベスト4からのスタートとなった新チーム。「確かに、チームがベスト4に残れたということは自身にはなっていっているとは思います。だけど、秋は別のチームですから…。個々の能力としては、前のチームの方が高かったかとは思います。だけど、それぞれの場面でどういうことをしていくのかという判断をしていけるチームだと思っています」と語った。状況に応じた中で、個々がそれぞれでやれることをどう実践していくのか、この秋の東京のスタイルである。