試合レポート

藤沢西vs横浜創学館

2012.05.02

藤沢西vs横浜創学館 | 高校野球ドットコム

先発・小原(横浜創学館)

横浜創学館エース小原、粘りの完投

この日の[stadium]保土ヶ谷・神奈川新聞スタジアム[/stadium]は3試合。第1試合が延長13回の熱戦となったこともあり、第3試合の開始は16時24分。6回から点灯試合となり、この試合もまた延長戦へ。試合終了は19時10分。追いつ追われつの好試合で、最後まで残った観客からは大きな拍手が送られた。

ピッチャーをいつ代えるのだろう。
そう思いながら見ていたが、結局、最後まで投げ切った。
176球、被安打9、四死球9、奪三振10で完投勝利を挙げた横浜創学館の背番号1、左腕の小原拓也のことである。5回まで1失点も、6回から9回までに1、1、3、1と失点を重ね、明らかに疲れていた。ピッチャーライナーが足に当たっても、ベンチが動く気配はなかった。
「小原はこういう接戦で、粘れたことがなかったんです。今までは自分でゲームを壊していた。夏を考えたら、ここはひとりで投げ抜いてほしい。そういう思いがありました」。

横浜創学館・森田誠一監督の言葉である。春の大会の目標は、夏の神奈川大会でのシード権獲得。すでに第3シード以上を確定していたこともあり、この試合はあえて小原と心中した。小原に預けたといってもいい。
「代えるのは簡単なことです。でも、代えてしまったら…。ただ、もうちょっと小原がしっかり投げてくれないと。本当のエースだったら、逆転したところでそのまま逃げ切って終わりますよね」。


藤沢西vs横浜創学館 | 高校野球ドットコム

7番矢野(横浜創学館)9回2アウトから同点タイムリー

例年、打線が強力な横浜創学館。県内では「打の創学館」として有名だ。
今年のチームは、新チーム時点で「近年でもっとも力がない」と森田監督は評していたが、今は「冬を越えて、バッティングは伸びてきた」と手ごたえを感じている。1キロや1.5キロのバットで硬球を打ったり、タイヤを叩いたりして、パワーをつけてきた。
この日は、藤沢西の技巧派左腕・沖田航季の変化球に手こずるも、6回裏に7番・矢野吏、8番・小原、9番・橋本拓樹の下位打者3人の長短打で逆転。
その後、2点のビハインドで迎えた9回裏には、2年生の4番・下川原巧輝が二塁打で出塁すると、2アウトと追い詰められたところから、八巻隆太郎、矢野がファーストストライクを積極的に強打し、連続タイムリー。土壇場で追いつき、延長にもちこんだ。
そして、10回裏、1死二塁から、2番・野口拓美がこちらもファーストストライクをとらえ、センターオーバーの二塁打。二塁ランナーの高橋がサヨナラのホームを踏んだ。

昨夏からメンバーがごっそりと入れ替わったため、例年よりは小粒感が否めないが、ここまで勝ち上がってくるのは地力があってこそ。ただ、「甲子園出場」となると、投手を含めた守備力の底上げが必要だ。
例年、横浜創学館の課題に挙がるのがそこ。そういう意味で、一本立ちを期待される小原の完投は、本人にとってもチームにとっても大きなものとなった。次戦以降のピッチングに期待がかかる。

敗れはしたが、藤沢西の中盤以降の粘り強い攻撃は見事。強豪私学をあと1アウトのところまで追いつめた。前任の川村靖監督(現・湘南高校)が県立の実力校に引き上げ、あとを継いだ戸塚義晃監督も選手の個性をうまく引き出しながら、好チームに育てている。
昨秋は地区予選で敗れたチームが、今春は3回戦で藤嶺藤沢を破るなど旋風を巻き起こした。ベスト16入りで、夏の第3シードが確定。夏のシード獲得は、学校として初めてのこととなる。

(文・写真=大利 実)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.08.24

岩瀬日大、守谷が県大会出場へ!茨城秋季高校野球地区大会1次予選

2024.08.24

栃木県交流戦が開幕!小山、宇都宮工などが初戦突破を決める

2024.08.24

U-18代表の国内合宿がスタート!代表チームの主将は異例の投手が就任

2024.08.25

早くも当確!? 山川穂高“史上初”となるパ・リーグ2球団での本塁打王なるか?

2024.08.25

侍ジャパンU-18代表は近畿大相手にサヨナラ勝ち!徳丸がサヨナラ打!宇野、花田、石塚のクリーンアップがマルチヒット!

2024.08.19

大社のエース左腕・馬庭はベンチスタート!神村学園はエース・今村が先発!ベスト4かけた両校のスタメンを発表!【24年・夏甲子園】

2024.08.20

立花学園、厚木北などが勝利!神奈川秋季高校野球地区予選

2024.08.20

宇治山田商、津商が優勝!三重高校野球秋季地区大会

2024.08.19

天理と智辯学園は同パートで勝ち上がれば準決勝で対戦!奈良秋季大会組み合わせ決定

2024.08.19

愛知啓成、誉、一宮南、修文学院が4強入り!愛知高校野球尾張2次予選

2024.07.27

大阪桐蔭vs履正社のライバル対決!大阪桐蔭、2年生右腕に先発マウンド託す!【スタメン】

2024.07.31

甲子園を逃した“超高校級”逸材リスト 超進学校に現れた二刀流、サイクルヒットの名門校捕手、佐々木朗希二世らが聖地を踏めず

2024.07.26

名将の夏終わる...春日部共栄・本多監督の最後の夏はベスト4で敗れる【2024夏の甲子園】

2024.07.31

2024年夏の甲子園「地方大会勝ち上がり表付き」全49代表一覧

2024.07.27

まさかの5回コールド...大阪桐蔭vs履正社の宿敵対決は12得点奪った大阪桐蔭に軍配!【2024夏の甲子園】