大阪桐蔭vs八尾
森友哉主将(大阪桐蔭)
春夏連覇後の新チーム初戦
春夏連覇を達成した甲子園決勝から3週間あまり。大阪桐蔭の新チームが初戦を迎え、17安打23得点。5本塁打で大阪八尾を圧倒した。
新キャプテンになった森友哉(2年)がこの日はじゃんけんに勝って先攻を取った。
西谷浩一監督は、「何の相談もなしに先攻だった」と苦笑いしたが、キャプテンは攻撃でまずチームのスタートリズムを作りたいという意図を持っていた。
その言葉通り、まず1回に1番辻田大樹(2年)が二塁打を放って出塁すると、3番に座った森友がタイムリーを放って先制点を挙げた。
2点目は併殺崩れの間だったが、直後に7番田村斗紀(2年)がライトへ3ラン本塁打。さらに、二巡目となった1番辻田が3ランを放ち1回だけで8得点。キャプテンの狙いは完全に当たった。
守りでは、甲子園メンバーの笠松悠哉(2年)をあえてスタメンから外す布陣。
「(甲子園決勝まで戦って)当然なのですが、他校より1カ月遅れている。今は突貫工事です」と指揮官が話すように、新しいチームの形はまだまだ手探り状態であると伺える。
この日は、背番号1の髙西涼太(2年)が2回を投げてパーフェクト。3回から投げた葛川知哉(2年)は1失点。最後の5回は初めてベンチに入った原田洋彰(2年)が登板した。
さらにこの日ポイントだったのは、18U世界選手権に参加して、9日に帰国したばかりの森友の状態。
アメリカ戦での負傷が気になる所だったが、関西空港まで迎えにいった西谷監督は、「翌日にもう一度病院で全ての部分を検査してもらい、大丈夫だということでした」とホッとした胸中を明かした。
ただすぐに新チームの公式戦になり、国体も控えるという過酷なスケジュール。大差になったこの試合では、4回裏からベンチに下げて、残り2イニングを見守らせた。
藤浪晋太郎、水本弦、田端良基といった世界選手権組の3年生は今週一週間を練習休みにしているそうで、指揮官の本音は森友にも3年生と同じように少し休養を与えてあげたいようでもあった。
それでもこの日の森友の表情は良く、スタンドに詰めかけたファンからの心配の声にも、「大丈夫です」と答えていた。
その後を心配して駆け付けた世界選手権のスタッフも、森友の表情に胸をなで下ろしている様子だった。
帰ってから1週間。副キャプテンの久米健夫(2年)などからチームの様子を聞いたという新キャプテンは、「原点に戻ろうという意味で、声と足(走塁)を意識した」とスタートを振り返った。
次の2回戦は17日。相手は太成学院大高になる。指揮官は、「帰って練習です」とすぐにバスへ向かった。
芦田磨哉投手(八尾)
一方で敗れた大阪八尾。
22点をリードされた3回の攻撃で、先頭の7番熊井遼太(2年)がライトへヒットを放ち初めての走者が出た。
それを8番谷山大季(2年)が送り、9番芦田磨哉(2年)は進塁打で二死三塁。1番の高橋天智(2年)がセンターへ弾き返して1点を奪った。
5回にも無死一、二塁の場面で8番谷山が犠打。
このように点差に関係なく、自分達のスタイルで1点を取ることに主眼を置いていたのが印象的だった。
ただ、課題が残ったのが投手。
先発した芦田、二番手で登板した宮崎翔汰が合わせて13四死球を与えた。
相手打線を考えれば厳しいのかもしれないが、やはりこれでは野球にはならない。
野球は、ストライクを投げられなければ永遠に終わらないスポーツ。ストライクを投げて、打たれることで、勉強もできる。
まず、ど真ん中に投げてでもストライクを取ることを考えて、取り組んでいったらどうだろうか?
大阪桐蔭 | TEAM | 八尾 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
8 | 辻田大樹 | 1番 | 8 | 高橋天智(主将) |
4 | 峯本匠 | 2番 | 6 | 藤本初矢 |
2 | 森友哉(主将) | 3番 | 9 | 早川和志 |
3 | 近田拓矢 | 4番 | 5 | 鎌田直也 |
9 | 福森大翔 | 5番 | 3 | 吉本裕紀 |
5 | 香月一也 | 6番 | 7 | 片岡佑太 |
7 | 田村斗紀 | 7番 | 4 | 熊井遼太 |
6 | 水谷友生也 | 8番 | 2 | 谷山大季 |
1 | 髙西涼太 | 9番 | 1 | 芦田磨哉 |
(文・写真=松倉雄太