高知vs高知西
高知、高知西の奮闘に苦しむもソツなくベスト8へ!
この日、高知西の先発は1回戦・高岡戦で7回を完封した189センチ右腕・安藤誉氣(2年)ではなく、変則左アンダーハンドの川澤駿斗(3年)。
4回まで7四死球を与えながらも60キロ程度の超スローカーブと100キロに満たないくらいのストレートを内外角低めに飄々と投じる川澤の前に、高校通算本塁打54発の和田恋遊撃手(3年・主将)を4番に据える高知強打線は1回裏・二死一・二塁から5番・市川豪一塁手(3年)の左前適時打と、2回裏、二死一・二塁から2番・川上雄大二塁手(2年)が中前に落とした適時打の2得点のみに留まった。
さらに高知西はその2回裏無死満塁から1番・上田隼也中堅手(2年)の三塁線を襲う強烈なライナーを4番・藤本悠汰三塁手が横っ飛びでつかみ併殺し、好プレーで川澤を守り立てると、返す刀で3回表には二死二塁の場面で3番・中越俊介一塁手(3年)が高知先発・坂本優太(3年)から遊撃内野適時打を放ち反撃。5回からは安藤へのリレーで流れをつかみにかかる。
しかし、センバツベスト4の経験値は高知を試合巧者へと変貌させていた。グラウンド整備中に将来楽しみな回転のいいボールが数多くある一方、まだシュート回転の甘いボールも散見される安藤の弱点を見切ると、6回表には川上雄、股川涼有右翼手(3年)の連打で待望の追加点。8回裏には上田からの3連打含む4安打を集中させ4点を奪い、最終的にはソツなくベスト8進出を決めている。
[page_break:この試合のエキサイティングプレイヤーはこの選手!]エキサイティングプレイヤー 酒井祐弥(高知2年・投手)
1回戦では先発だったが、高知西戦では6回から3イニングをリリーフ。
地元ケーブルテレビのスピードガンは最速138キロだったが、体全体を使った強烈な縦回転から放たれるストレートの威力はジャイロボールのような迫力を持っていた。
また、以前からの持ち味だった縦カーブに加え、縦軌道を保ちながら横へ滑り落ちるスライダーもこの日は多用。センバツでは坂本優太(3年)につなぐ高知中出身リレーが話題となった酒井だが、今夏は坂本優からエースの座を奪う勢いだ。
(文=寺下友徳)