試合レポート

豊田西vs安城東

2016.10.31

中盤の乱戦を制した豊田西、全三河大会22大会ぶりの優勝

豊田西vs安城東 | 高校野球ドットコム

豊田西・川上大河君

 安城東としては初、豊田西は22大会ぶり9回目の優勝を狙うこととなった決勝戦。

 中盤はやや乱戦気味になったところもあったが、随所にお互いに好プレーも出て、最後は豊田西が力を示して追いすがる安城東を振り切った。豊田西は2005年秋の第113回大会以来の全三河大会優勝となった。

 豊田西は初回に先頭の藤田 陸君が死球で出るとすかさず盗塁して、バントで進めて一死三塁を作ると、3番高橋 佑輔君が左越二塁打を放って先制。さらに、3回には9番杉本君の左越二塁打から藤田君の右越二塁打に、高橋君以下阿部君、藤本君と続く中軸の3連打などで5点を加えて大量リードとなった。

 しかし、安城東もすぐに反撃して4回、一死走者なしから和田君が中前打すると、そこから2つの四球を挟んで4安打して先発の川上 大河君を退けた。高橋佑君を引っ張り出すとともに、1点差にまで追い上げた。これで試合そのものも、行方が分からなくなっていって面白くなっていくのかと思われた。

 ところが豊田西は、追い上げられてもすぐにまた突き放していくあたり、勝負強かった。

 その裏、再び杉本君からの打順だったが、またしても二塁打すると、1番に戻って藤田 陸君は中前打して一三塁とする。大西君のスクイズは失策も誘って1点を追加してなおも一三塁。高橋 佑輔君の内野ゴロの間に三塁走者が帰ってこの回2点目となり、3点差に広げた。


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安城東、リリーフした藤嶋君

 5回にも豊田西は、先頭の加藤君がバント安打して出塁すると、清水君も中前打で続き、バントで進め、スクイズ失敗はあったものの、シュアな1番藤田 陸君が中前打で9点目を奪った。試合の展開としても、貴重な追加点ということになった。

 このリードを高橋 佑輔君が、力強い投球で5回以降を3安打無失点に抑えて逃げ切った。
「このところ、ちょっといい結果が残せていませんでしたから、(全三河大会は)獲れるのであれば獲りに行こうと、そういうことは選手たちにも言っていました。この大会でこうして優勝できるのも久しぶりですから…。もちろん、私になってからは初めてです。これで来年へ向けての弾みとしていくことができればと思っています」と、古和田 雅章監督は22大会ぶりとなる優勝の意味を考えつつ、しんみりとその思いを味わっていた。

 大きくリードした直後の4回の大量失点については、「先発の川上がどこまで投げられるのかと、我慢していたのですが、ちょっと我慢しすぎましたね。ただ、夏を思うと、投手は一人では負担が大きすぎますから、もう一人作っていかないといけませんから」と、投手陣の底上げを一つのテーマとしていた。チームとしても、この代はある程度の手ごたえを感じているというだけに、より厳しくチーム力をアップさせていきたいという意識も強く持っているようだ。

 秋季県大会の予選となった、夏休みの西三河地区大会でも準優勝し、この全三河大会でも準優勝。チームとしては一つの結果を出すことができた安城東。大原 佳之監督は、「新チームが出来た時は、まだ青写真もできていない段階からスタートしていました。そうした中で部長の大見(健郎)先生が3人の投手を育てていってくれて、その使い方も含めて、どうしたらいいのかなぁ、というところでやっていました。そうしながら、西三河の予選ではある程度の結果が出せて、県大会へ進んで戦っていく中で課題も見つかりました。この大会をこうした形で何とか終えられて一つの結果が出せたことは、来年へ向けてのチームとしての自信にはなっていくと思います」と、その成果を語っていた。

 2年生だけで34人という大所帯になってきている安城東。チーム内でも競争は厳しくなっていくであろうが、「いいところは褒める。変えていかなくてはいけないところは、しっかりと言っていく」というだけに、こうした大会で勝ち上がって、1試合でも多く経験していくことで、「背番号をつけて試合が出来るというチャンスを作れるのは大きいですね」と、西三川の地区予選から、県大会、全三河の決勝までと、この秋は多くの試合を経験していったことを収穫として、来季を目指す。

(文・写真=手束仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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