試合レポート

名古屋市工芸vs半田

2019.04.20

打線好調の名市工芸、満塁弾含む長打攻勢で快勝

名古屋市工芸vs半田 | 高校野球ドットコム
満塁本塁打を放って、笑顔の名市工芸・菱田君

 1回戦で11得点を挙げて打線好調を思わせた名古屋市工芸。この試合でも、打線の好調ぶりは続いていた。

 3回に一死二塁から、1番南出君が左前打して先制し、さらに四球などで二死一二塁として、4番菱田君が右線に落とす二塁打で2者を帰してこの回3点。さらに4回にも先頭の赤堀君が左中間二塁打。遊ゴロで三塁を狙い刺され、チャンスを逸しかけたものの、その後四球もあって二死一二塁となったところで、南出君が中越二塁打してさらに2点を追加した。

 さらに度肝を抜いたのは6回だった。この回から半田の後藤浩介監督は一塁手としてスタートしていた1番をつけた山下君をマウンドに送り、名古屋市工芸の攻撃封じにかかった。しかし、2四球と松井君の安打などで二死満塁としたところで、菱田君は98mの左翼スタンドに放り込む満塁本塁打で、一気に9対0とした。名古屋市工芸は各打者が、思い切りよくスイングしてきていた。しっかり捉えた打球は鋭く野手の間を抜いたり、頭上を越えて行っていた。

 そして、このリードで名古屋市工芸のエース勝君はスイスイと自分のリズムで投げられていたようだった。元々は、捕手だったという勝君だが、肩甲骨が柔らかいのと指先の感覚がいいということで、名古屋市工芸の西尾智之監督が投手をやらせてみようということで、投手の練習をさせて行って、一つずつ実戦を経験して成長していっているようだ。「真面目にコツコツやっていく子です。実は、春の一次予選で初めて完投を経験したことが自信になっていたと言っていました。試合をやっていきながら成長していっています。まだまだ、やれると思います。今日も自信になっていると思います」と成長に目を細めていた。

 また、好調な打線については、「予選では、あまり調子がよくなかったんですよ。だけど、空振りOKで思い切って行けと言うことを徹底したことで、当てに行って凡打になって失敗していたのが、思い切りよく振っていけるようになりました」と、言いつつも「まだ本調子ではないんです」と、まだまだ打てると言いたげだった。

 満塁本塁打した菱田君は、手の甲をケガしていて、予選の時は不甲斐なくて涙していたほどだという。それを吹っ切るかのような一発だったとも言えよう。

 ほとんどワンサイドでいいところがなかった半田。それでも7回、一死から新美君が四球で出ると、5番山下君が左中間三塁打して1点を返し、さらに内野ゴロの間に生還してこの回2点。何とか一矢を報いたものの、ここまで。コールドゲームを阻止するには至らなかった。

 後藤監督は、「四球で走者を出してたまったところで長打を打たれるという、ウチにとっては一番よくないパターンの取られ方でした」と、肩を落としていた。それでも、「夏へ向けて、もう一度、投手を中心に整備していきます」と、切り替えて、早くも夏を見据えていく姿勢を示していた。

 
 

(文・写真=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.21

「10年後、日本の野球界は行きづまる」一人の野球指導者の危機感が、アマチュア球界を変える新リーグを生んだ~野球指導者・阪長友仁のビジョン前編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.6】

2024.06.21

夏のベンチ入りを外れた千葉強豪2校の3年生が行う”涙の引退試合”、野球部以外の生徒たちも駆けつけて……

2024.06.20

大分の県立校にドラフト候補現る! この春急成長した148キロ右腕・金田龍乃介は2回戦で明豊と激突の可能性! プロ入りがかかる投球に期待<高校野球ドットコム注目選手ファイル・コム注>

2024.06.20

春夏連続甲子園出場をかける山梨学院は、初戦で笛吹と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.18

今夏埼玉の注目野手18人! ドラフト1位級の花咲徳栄スラッガーを筆頭に浦和学院・昌平らに大型選手が揃う【埼玉注目野手リスト】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.06.18

激戦区・兵庫の組み合わせ決定!センバツ準V報徳学園は舞子と明石北の勝者と、3連覇狙う社、プロ注目右腕・槙野遥斗擁する須磨翔風など注目校の初戦は!?【2024年夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.24

春季近畿大会注目選手17人! 智辯和歌山の大型右腕、大阪学院大高の全国トップレベル遊撃手、天理のスラッガーコンビら逸材がこぞって出場!

2024.05.23

【鹿児島NHK選抜大会展望】本命・神村学園、対抗馬・鹿児島実、2強の牙城を崩すのは?

2024.05.25

【長崎】長崎北、長崎日大、創成館などが勝利<NHK杯地区予選>