試合レポート

Dシード・川越工が今年のテーマ「継」を実戦し、雨天の激戦をサヨナラで制す!【24年夏・埼玉大会】

2024.07.13


サヨナラ勝ち

<第106回全国高校野球選手権埼玉大会:川越工7―6与野>12日◇1回戦◇県営大宮球場

【トーナメント表】埼玉大会 トーナメント表

雨天の中行われた県営大宮球場の第1試合はDシード・川越工 vs 与野

先発は川越工は今春同様に2年生左腕の笛木 昊士郎、一方の与野はエース左腕の相羽 将吾が登板し試合が始まる。

試合は激しい雨の影響もあり、初回から激しく動く。

与野は初回、川越工・笛木の立ち上がりを攻め立て、先頭の萩原 亮介(3年)がファーストへの内野安打で出塁すると、続く上森 孝太(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。二死後、4番・須永 悠太(3年)が四球を選び二死一、二塁とすると、続く中村 塁斗(2年)の所で走者がスタート。これがランエンドヒットのような形となり、中村の打球はセカンドへのタイムリー内野安打となり1点を先制する。

未だ雨の影響もありペースの掴めない川越工・笛木は、その後も続く田中 拓海(3年)に四球を与え二死満塁とすると、ワイルドピッチで2点目。さらに7番・廣上 詠斗(3年)にも四球を与え再度満塁とすると、続く蝋山 颯太(2年)にも押し出し四球を与えてしまう。続く尾﨑 太陽(2年)の所でもワイルドピッチで失点するなど、初回から4点のビハインドを背負う。

だが、川越工もその裏、すぐに反撃を開始する。

川越工も与野・相羽の立ち上がりを攻め、一死から2番・佐野 朝規(3年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く橋口 大和(3年)もライト前ヒットを放ち一死一、三塁とする。ここで4番・長島 琉音(3年)がライト前タイムリーを放ちまず1点、さらに二死後、6番・今岡 勇哉(3年)もレフト前タイムリーを放ち2点を返す。

川越工は3回裏にも、この回先頭の佐野が左中間への三塁打を足がかかりとし、4番・長島の犠飛で1点差まで迫る。対する与野も5回表、この回からマウンドに上がった川越工のエース齊藤 翔太(3年)の代わり端を攻め、この回先頭の相羽の内野安打を足がかりとし、一死二塁から5番・中村のライト前ヒットをライトがファンブルする間に二走が本塁生還。1点を追加し再度2点差とする。この辺りは点の取り合いの様相を呈す。

迎えた7回裏、2点を追う川越工は、やや球が上ずり始めた与野・相羽に対し、この回先頭の太田 周良(2年)が死球で出塁すると、続く杉原 瀬那(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。さらに2番・佐野がショートへの内野安打を放ち一死一、三塁とすると、続く橋口も四球を選び位置し満塁とチャンスを広げる。二死後、5番・小島 幹太朗(3年)がセンター越え走者一掃となるタイムリー二塁打を放ち6対5と一気に逆転する。

これで流れは川越工かと思われたが、最終回まだもつれる。

9回表、与野はこの回先頭の秋元 孝太(3年)が四球を選び出塁すると、続く上森がきっちりと送り一死二塁とする。二死後、4番・須永が値千金のレフト前タイムリーを放ち同点に追いつく。

勢いに乗る与野はさらに、代打・端 航希(3年)、6番・田中が連続死球を選び二死満塁と絶好の勝ち越し機を迎えるが、続く廣上の打球はレフトのファインプレーに阻まれ同点でこの回の攻撃を終える。

すると、川越工はその裏、この回先頭の佐野が四球で出塁すると、一死後、4番・長島がセンター前ヒットを放ち一死一、二塁とする。さらに続く小島もレフト前ヒットを放ち一死満塁とすると、最後は今岡のボテボテのサード前の打球が内野安打となり川越工が9回サヨナラ7対6と辛くも初戦を突破した。

まずは与野だが
「シード校相手で立ち上がりで主導権を握らないとやられると思っていたので。夏の本番で何をするかを1年通じてやってきたのでそれは出せたかなと。ただ、勝ってもっと多くの幸せを味あわせてあげたかった。相羽は怪我で今春出られず、膝の怪我も万全ではない中良く投げた」(吉本監督)
と、序盤から相手投手に揺さぶりをかけ優位に試合を進めた。最終回あと1人から同点に追いついた粘りはお見事。悔やむべくはその後の満塁の勝ち越し機で相手の攻守に阻まれあと一本が出なかったことか。エース相羽も万全ではない中、粘りの投球も最後力尽きる形となった。

一方の川越工は、今春は全て先制する展開であったがこの日は一転、初回から4点を追う展開となる苦しい試合であった。それでも慌てず、1点ずつ後ろへ「継」。最終回もあと一人から追いつかれた。
「初回はさすが与野・吉本先生でした。この日の雨も含めどんな状況も受け入れるのが夏。春の経験が最後活きました。最終回は今年のテーマ『継』」(荒木監督)
昨夏の経験者である4〜6番が全打点を挙げるなどそれぞれ良い場面で仕事をした。特に3打点の小島は、昨夏のメンバーながら秋以降積極性を失い二桁の背番号でスタメンから外れるも腐らずアピールし続けた選手。それだけに「打った瞬間抜けろ!って」(小島)とその喜びもひとしおだったはず。課題はあるが、4点ビハインドからの逆転勝利は大きい。上位進出へ勢いに乗れる大会の入り方となったはずだ。

この記事の執筆者: 南 英博

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