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西武移籍した野村大樹に絶好のチャンスが訪れた!高校時代の万波中正をはるかにしのぐ打撃技術を本格開花させるときが来た【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.28』】

2024.07.14


早稲田実業時代の野村大樹

皆さん、こんにちは!! 『高校野球ドットコム』の河嶋です!

今回は5日にソフトバンクから西武へトレードで移籍した野村 大樹内野手(早稲田実業)を取り上げたいと思います。

高校通算68本塁打を放ったスラッガーとして活躍した野村選手。高校時代の3年間、成長を見てきましたが、現在、プロの一軍でレギュラーとして活躍している高卒打者と比べても技術的に全く見劣るところはありませんでした。野球に取り組む姿勢も良く、ぜひ移籍を機に、大活躍してほしい選手だと思っています。高校時代にプロで活躍できる選手だと実感した試合を振り返っていきたいと思います。

驚異的な打撃には確かな取り組みがあった

野村選手の大阪福島シニア時代の同期には巨人・増田 陸内野手(明秀日立)、東京ガスの中川 卓也内野手(大阪桐蔭-早稲田大)がいました。早実入学後、早くも活躍します。1年夏の啓明学園戦では1学年上の清宮幸太郎選手とともに本塁打を放ちました。堂々と打席に入り、レフトスタンドへ豪快に打ち込む本塁打を見て衝撃を受けたことを覚えています。

1年秋も4番打者として活躍し、秋季都大会決勝戦では日大三櫻井 周斗投手(楽天)からスライダーを捉えてライトスタンドへ優勝を決めるサヨナラ2ランを打ちました。この都大会では3本塁打、12打点、打率.429の活躍で、センバツ出場に貢献しました。神宮大会では福岡大大濠三浦 銀二投手(DeNA)からも本塁打を放っています。
全国レベルの投手が打てるようになったのは、夏の大会後に取り組んだ体幹強化、変化球を打ち返す打撃練習、逆方向へのロングティーの3つの取組みでした。

初の甲子園となった2年のセンバツでは、2試合で9打数5安打と上々の全国デビュー。その後の春季都大会では再び決勝戦で2本塁打を記録。大事な試合になるほど実力を発揮する野村選手。なぜ打てるのかを聞いてみたことがあります。
「神宮大会の決勝戦の履正社戦で、自分が狙い球に絞っていない真ん中付近の甘いボールを見逃し三振してしまったんです。そういう球を打てないと上のレベルに行けないと思いました。打てなかったのが本当に悔しくて、反応で打つ練習をしてきました」

そこから普段の打撃練習に工夫を重ねたそうです。
「うち(早実)の打撃練習では、2ストライクから投手が好きな球種を投げていいのですが、その時はガチンコ勝負。何を投げるか分かりません。狙っていない球でも甘いボールならば打つ。それができる練習を繰り返してきました」

高校2年生でどうすれば打てるのかを考えて、具体的に話ができる選手もなかなかいなかったですし、結果を残せる技術の高さがありました。

早稲田実業時代の野村大樹

西武移籍は大チャンス

2018年ドラフト3位でソフトバンクに入団した野村選手はプロ1年目に一軍で初安打。22年には31試合で8打点、23年には41試合で1本塁打、3打点と着実に出場機会は増やしていますが、一軍定着には至りませんでした。
それでも野村選手が打撃技術が非常に高い選手という評価は変わりありません。ファームでは56試合、3本塁打、21打点、打率.278を記録。打撃フォームを見ても最短距離でバットが出ていて、的確にボールを捉えることができています。

西武では移籍後から即昇格。スタメン起用されています。これからもどんどん打席を与えてほしい選手だと思っています。

野村選手と同世代では日本ハム・万波 中正外野手(横浜)が活躍していますが、高校時代、技術的なことでいえば、野村選手が圧倒的に上でした。大爆発してくれるのではないかと期待をしています。

西武は打低で苦しんでおり、ぜひ救世主と呼べる活躍を見せて、プロ野球選手としての「旬」を迎えてほしいと思います。

*『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。

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◆早稲田実業のスラッガー野村大樹を覚醒させた3つの取り組みと配球を読む能力
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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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