試合レポート

Dシード・川越西、初戦敗退!秘密兵器対決は北本に軍配!【24年夏・埼玉大会】

2024.07.15


生井 瑠功(北本)

<第106回全国高校野球選手権埼玉大会:北本2―0川越西>12日◇1回戦◇県営大宮球場

【トーナメント表】埼玉大会 トーナメント表

雨が降り止まない中、行われた県営大宮球場の第2試合は昨夏のスタメンが7人残るDシード・川越西 vs 北本

先発は川越西が絶対的エース齋藤 瑛(3年)ではなく、帝京長岡からの転校生で背番号5の右腕・小泉 球太郎(3年)、一方の北本も今春は登板機会のなかった背番号8の右腕・生井 瑠功(3年)が登板と共に”秘密兵器”が登板し試合が始まる。

試合は投手戦となる。

両校、互いにチャンスこそ作るが、川越西・小泉、北本・生井の踏ん張りもあり、あと一本が出ない展開が続く。

均衡を破ったのは北本であった。

5回表、北本はこの回先頭の原 大和(3年)が一塁線を破る二塁打を放つと、さらにライトがファンブルする間に一気に三塁へと進む。続く木下 涼介(2年)が右中間へタイムリー二塁打を放ちまず1点、さらに2番・坂巻 陽月(3年)がきっちりと送り一死三塁とすると、続く上間 尚仁(3年)が犠飛を放ち効率良く2点を先制する。

試合はその後も両投手の好投が続く。

川越西・小泉は9回を投げ切り、被安打6、7奪三振2失点完投と素晴らしい内容。

だが、北本・生井がそれを上回った。最後まで川越西打線に的を絞らせず5安打完封し、川越西・小泉に投げ勝って見せる。

結局、北本が2対0でDシード・川越西に勝利した。

まずは川越西だが、「先発は今一番調子が良かったので小泉で行った。齋藤は6月終わりぐらいに体調不良になり調子が上がって来ない状況。小泉は球筋とか球の勢いに力がある子なので最後まで行かせた。前半もピンチを凌ぎながら良く投げてくれた。ただ5回の2点目は痛かった。それよりも相手の生井くんが最後まで攻略できなかった。制球も良く球の勢いもあって丁寧に投げていた。ボールが荒れる訳ではないのでストライクを振ってキチっと捉えろと言っていたんですが、捉えきれなかった。相手は変化球を交ぜながら追い込まれてボールを振らされたり、厳しいボールもあったと思うんですが、その辺をうちの選手が攻略できなかった。ちょっと6月のチーム状態が上がって来なかった。他にも体調不良者がいてベストメンバーがなかなか組めなかった。昨秋もこんな展開で勝ち切れなかった。うちの投手は頑張っていたんだけど、相手投手を攻略できずで。今後はもうちょっと打線が奮起しないと勝ち上がれないかなと。小泉は元々川越の子なんですけど帝京長岡から昨年の6月に転校してきた。1年間出られないので最後の夏だけって。元々投手だが春の大会終わってから内野で使ったりとか。野球もそうですし学校生活も真面目に取り組む子です。この子達をもうちょっと勝たせてあげたかった」(中野監督)

と、大会前の想定外の事態を悔やんだ。小泉は良く投げていたが、打線が振るわなかったことを嘆いた。「引っ越してきて最初で最後の舞台で先発を託して頂いたのにも関わらず大事な初戦で勝ち切ることができなかった。選手達に申し訳ないですし、応援して下さった方々の期待に応えられなくて悔しい思いしかない。自分が完封して2回戦、3回戦と勝ち上がらなければいけない状況だから踏ん張りたかった。辞めた時はもう野球を辞めようと思っていたんですが、やっぱり高校生最後までやり切りたいと思って。終わり方は悔いの残る形になってしまって、最初は馴染めるか不安もあったんですが、野球部の皆が自分を受け入れてくれて。そのためにも絶対勝つと皆んなに言っていたんですが打たれてしまって申し訳ない気持ちでいっぱい。5回は整備前ってことで絶対抑えなければいけなかったんですが、先頭に打たれてしまって。編入してきてから最初は中継ぎという形で投げる回数が増えてきて徐々に体力がついてきて9回を投げ切れるようになった。エースの斎藤が投げるべき所を自分に託して頂いて徳栄の所まで目指していて、シード校を目指せるようにと思っていたんですが。終盤は試合が動くと中野先生からも言われていて9回いい形で打線に繋げようと思って。自分がベンチに入ることで誰かがベンチを外れることになるので、チームの気持ちも背負って投げた」(小泉)と、涙を拭ったが彼は責められない。

一方の北本も、「帝京長岡の子がいるのは知っていた。変化球が多いので狙えよって言っていたんですが見逃していて。生井が頑張った。元々新人戦は生井が投げて、昨秋の前に顔面にボールが当たって骨折して入っていなかった。生井には1球も同じ球を投げるなと。うちは試合の入りが悪いんで、どうやって背番号1に繋ぐか考えていたんですが、今日の展開なら代えられない。今までで一番良いゲーム」(柿原監督)と、小泉の先発は想定内。手放しで選手達を褒めた。

「投手は5人います。自分はエースだとは思っていない。直球は抜いた球をうまく使った。ただ実は昨日まで肩が痛くて。インナーマッスルが弱くて。今日は直球が走っていた。相手は引っ張りが多いということだったので、外の変化球をより外に投げることを意識した。低めにコースへ投げれば打たないと思っていたので、カウントが悪い時にはコースへ投げることを意識しています。花咲徳栄戦まで勝ち上がりたい。実は開幕戦前日に花咲徳栄と練習試合で投げて4回3失点でした」(生井)と、してやったりの表情。上位進出を虎視眈々と狙う。

この記事の執筆者: 南 英博

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