試合レポート

中京大中京が誉に大苦戦…。シーソーゲームの展開に高橋監督も「2つの試合をした」と苦笑い【24年夏・愛知大会】

2024.07.15


8回、貴重な勝ち越し点に盛り上がる中京大中京ベンチ

<第106回 全国高等学校野球選手権 愛知大会 Aブロック:中京大中京 7―4 誉>14日◇3回戦◇岡崎レッドダイヤモンド球場

【トーナメント表】夏の愛知大会 14日までの結果

この日からシード校が登場することになる愛知大会3回戦。その32試合の中でも、屈指の好カードではないかと言われているのが、この試合である。今春の東海地区大会優勝校のシード校中京大中京と、2019年の第101回大会で初優勝して、悲願の甲子園出場を果たしたが、いきなりぶつかることとなった。

その2019年には、準決勝でが優勝候補と言われた中京大中京を下して、その勢いでの甲子園出場となった。そんな因縁もあるカードでもある。

中京大中京は、昨秋はもう一つ勝ちあがり切れなかった。春季大会では名古屋地区大会から県大会、東海大会と戦うにつれてチーム力が整備されていって東海大会を制した。は、この春は尾張地区予選でも圧倒的に強さを示すことが出来ず、苦しみながらの県大会進出となった。もう一つ結果を残せてはいないが、選手個々のポテンシャルは非常に高いと評価されている。

中京大中京はエース左腕・中井遙次郎投手(3年)、は背番号10で、スリークォーターからサイド気味に投げ込んでくる樋口 澄明投手(2年)が先発。インコースのシュート気味のクセ球が持ち球でもあり、打ちづらそうなタイプである。

中京大中京は2回に一死二塁から8番に入っている中井投手自らの中前への強烈なタイムリー打で先制する。その後は、試合そのものもやや膠着気味となっていく。中井投手は2回から6回までは打線を3人ずつで抑えていっていた。こうして、テンポの速い投手戦という展開だった。
そして7回、中京大中京は今度は中井投手が一死からファウルで粘ってチャンスメイクの中前打を放つと、バントと暴投で三塁まで進む。ここで、1番の神谷倖士朗選手(3年)が左前打で返して2点目が入った。

ところが、ここからは、これまでとは全く別の試合のようになっていく。が一死から連打すると、中京大中京の高橋 源一郎監督は、「中井は連打されると続いてしまう癖があるので、捕手の杉浦に状態を聞いてみたら、前の回とは違っているということなので、思い切って球の速い宮内(渉・2年)を投入した」ということだったが、宮内投手自身が、少し準備不足だったということと、「岡崎RDのマウンドの固さにちょっと馴染みきれていなかった」ということもあって球が高めに浮き気味で四球を与える。それに、守りでも失策が出てしまい、たちまち同点となった。

それでも、その後を何とか宮内投手が押さえて同点で終盤戦となった。

8回での同点は、タイブレークも意識していかなくてはならなくなるのだが、中京大中京は一死一二塁から5番・杉浦 正悦主将(3年)が勝負強く三遊間を破ってリードを広げる。さらに、死球もあって満塁となったところで、代打・村上 颯選手(2年)が走者一掃の右中間二塁打を放つ。これで、中京大中京としても、少し安心のリードとなった。

しかし、も食い下がる。8回から登板した中京大中京の3人目・飯島 健太投手(3年)から、犠飛と5番・矢島 海選手(3年)の左翼線二塁打などで2点を返す。
こうして、終盤はいきなり点の取り合いになっていったが、中京大中京は9回にも主砲・山田 頼旺選手(3年)の中越二塁打で1点を追加する。そして、このリードを飯島投手が守り切った。

前半から中盤までの投手戦から、一気に点の取り合いになった試合だったが、中京大中京高橋監督は、「なんだか、2つの試合をしたみたいです」と苦笑していた。それでも、「代打で使った村上が、追い込まれながらもコンパクトに振って右中間を破った一打は大きかった。投手は6人入れているけれども、飯島は四球が少ないので最後は託した」と、終盤に苦しみながらも「やはり、夏は勝つことが一番大事」と、負けなかったことに安堵していた。

の矢幡真也監督は、「前半で2対0までだったら、返せる可能性はあるかなとは思っていました。7回は打ちあぐねていたところもあった左腕(中井投手)が代わってくれて、早い球ならついていけると思ったので、ラッキーかなとは思いました。ただ、追いついてから、リードを奪えないことが結果的には痛かった」と、残念そうに振り返っていた。

<関連記事はこちら>
◇享栄初戦敗退 大藤監督、教え子が作り上げた名古屋たちばなのチーム力の高さに脱帽【24年夏・愛知大会」
◇【一覧】愛知 注目選手リスト
◇【愛知大会展望】 ノーシードから4連覇狙う愛工大名電を止めるのはどこだ!?
◇センバツで豪快本塁打・モイセエフ(豊川)が4ヵ月で驚異の進化を遂げていた! 木製バットで120m超弾連発!
◇【一覧】高校生ドラフト候補リスト

この記事の執筆者: 手束 仁

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.08.18

岡山学芸館、倉敷商、創志学園などがシード!岡山高校野球秋季地区予選組み合わせ

2024.08.18

豊川、豊橋中央、桜丘、渥美農がゾーン1位で県大会へ!愛知高校野球東三河地区予選

2024.08.18

甲子園のヒーローがわずか4年でプロ野球を戦力外…育成契約を断り、社会人野球に進んだ本当の理由

2024.08.18

【甲子園8強戦力分析・チーム編】チーム打率トップは滋賀学園の.379! 東海大相模は驚異のチーム防御率0.00!

2024.08.18

県立西宮、龍野などが初戦を突破!兵庫秋季高校野球地区大会

2024.08.18

岡山学芸館、倉敷商、創志学園などがシード!岡山高校野球秋季地区予選組み合わせ

2024.08.15

神村学園が逆転勝ち、岡山学芸館が2戦連続0封勝利、早稲田実業がタイブレークサヨナラ勝ち、大社が107年ぶり夏2勝【24年・夏甲子園9日目】

2024.08.17

甲子園も大騒然!早稲田実業の「内野5人シフト」が成功!左ゴロを処理したスーパー1年生に大社の指揮官も驚愕

2024.08.17

惜敗も熱投を見せた早稲田実業の2年生リリーフは東海大相模の150キロ右腕など強豪校のエースと同期 

2024.08.17

愛知啓成、修文学院などが8強入り!愛知高校野球尾張2次トーナメント

2024.07.27

大阪桐蔭vs履正社のライバル対決!大阪桐蔭、2年生右腕に先発マウンド託す!【スタメン】

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.31

甲子園を逃した“超高校級”逸材リスト 超進学校に現れた二刀流、サイクルヒットの名門校捕手、佐々木朗希二世らが聖地を踏めず

2024.07.27

まさかの5回コールド...大阪桐蔭vs履正社の宿敵対決は12得点奪った大阪桐蔭に軍配!【2024夏の甲子園】