試合レポート

”超攻撃野球の浦学”から”堅守の浦学”へ。難敵相手に1対0の完封勝利発進

2024.07.15


鈴木 由馬(浦和学院)

<第106回全国高校野球選手権埼玉大会:浦和学院1―0正智深谷◇14日◇2回戦◇埼玉県営球場

【トーナメント表】埼玉県大会 14日までの結果

ギリギリの勝利だった。浦和学院の森大監督は「組み合わせ抽選で正智深谷さんとあたったときから、この苦戦は想像していました。初戦では当たりたくない相手だと思っていました」

正智深谷の昨秋、今春の戦いぶりを振り返ると、秋では春日部共栄を破っており、春では昌平に0対6で敗れているが、県上位校相手にそれなりの戦いができる。気が引き締まるような相手だった。
正智深谷のエース右腕・波田野 桂伍投手(3年)の投球に苦しんだ。120キロ台の直球、90キロ台のカーブのコンビネーションに打ち崩せない。森監督は「遅い球で勝負する投手というのはわかっていて、その対策はしてきたつもりなのですが…」と1点が遠い。

森監督にとっては想定内の試合展開だった。
「新基準バットは飛ばないですし、それに負けないように徹底としたフィジカル強化もしてきましたが、やっぱり強い相手となると点は取れないんです。これまで僕は強打のチームを作り上げてきましたが、この夏は浦和学院伝統の堅守のチームで勝負しようと思いました」

春の県大会では西武台戦で守備の乱れから敗北を喫した。ここから守備練習の時間もかなり増えて、高校通算34本塁打のスラッガー・三井 雄心内野手(3年)は「基礎、基本をしっかりと見直した」と語る。際どい打球も多かったが、球際の強さを発揮し、各内野手が好プレーを見せた。そのためメンバー選考も守備力が高い選手を選んだ。
「打撃能力の高さで考えれば、ベンチを外れた2年生が上回っています。ただ、今年の戦力の状況を考えれば、守備力が高い3年生中心のメンバーを選びました」

それができるのは森監督が信頼する2人の好投手がいるからだ。エースの鈴木 由馬投手(3年)は6回まで無失点の投球。常時130キロ後半の速球、スライダー、ツーシームを駆使してゲームメイクできる投手。そして0対0の7回裏からマウンドに登ったのは岡部 修弥投手(2年)だ。岡部は常時130キロ〜135キロの速球、スライダー、カーブを適度に投げ分ける技巧派で森監督は「小島 和哉投手(ロッテ)、宮城 誇南投手(早大)のような投手に育つ素質を持っています」と評価する逸材は8回裏にピンチを招きながらも無失点に抑えた。

最後までこの2人をもり立てる堅守が光った。
3月の練習試合ではまさに強打のチームだったが、今ではしぶといチームに変わった。
「接戦で勝てるには、最後まで集中力を保って試合ができるか。練習試合では負けたら終わりみたいな心境で臨んできました。決勝戦まで勝ち進めば今日含めて7試合はこんな試合が続くと思っています。守備は大事になってきます」

これまで森監督が就任してから超攻撃野球を掲げてきたが、今年は堅守で2年連続の甲子園出場を目指す。

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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