試合レポート

【春季三重県大会】終盤の点の取り合いを凌ぎ、津田学園がタイブレークでいなべ総合を振り切る

2024.04.21


津田学園・水成柾斗

<春季三重県高校野球大会:津田学園5-4いなべ総合(延長10回タイブレーク)>◇20日◇準々決勝◇四日市緑地公園霞ケ浦

【トーナメント表】春季三重県大会 結果一覧

昨年、春季県大会で優勝を果たしたいなべ総合は、その勢いで夏の三重大会も制して7年ぶり3度目の甲子園出場を果たした。一時期の低迷から抜け出してきていることを示している。この春は、北地区予選で四日市工に敗れたが、県大会では1回戦で近大高専に競り勝ち、2回戦で津西に快勝。調子を上げてベスト8に進出してきた。

津田学園は、北地区予選を1位で通過。シード校として迎えた県大会でも、初戦で白子・名張連合にコールド勝ちしての8強進出である。

同地区の実績のあるチーム同士の対戦となった。

いなべ総合は先発の20番をつけた中村 圭佑投手(3年)がもう一つピリッとせず、連打と連続四球の押し出しで津田学園が1回に1点を先制する。次打者のカウント2-1となったところで、いなべ総合の尾崎 英也監督は、たまらず中村投手を下げて、2年生ながら1番を背負う左腕・藤田 光哉投手(2年)を送り出した。

津田学園の先発・笹原 大和投手(3年)も3回までに3死球など、やや制球が定まらず、3回2死満塁から4番・吉川 昊良内野手(3年)の犠飛で同点となる。

その後5回に、お互い1点ずつ取り合う。津田学園は4番・武内 駿音内野手(3年)が2死二塁から左越え二塁打。いなべ総合も1番・伊藤 竜聖外野手(3年)が中前打で出るとバントで進め、3番・岡田 大夢内野手(3年)が左前へ適時打。こうして、2対2の同点のまま、後半に突入していった。

試合はいくらか落ち着いたかなという印象になった。次の1点が大きくモノを言いそうな展開になってきたが、いなべ総合は7回1死二塁となったところで3人目の右スリークォーターからサイドスロー気味の菊池 琉亜投手を投入して、しっかり後続を抑える。

その裏、いなべ総合は四球と1番・伊藤のバント安打に続く藤井 健瑠内野手(3年)の安打で無死満塁とする。ここで、3番・岡田が左犠飛を放ち、この試合初めてリードを奪う。さらには4番・吉川も右前適時打を放って、この回2点が入る。

津田学園もくい下がる。すぐに8回、1死から6番・岡 拓久朗内野手(3年)の左翼線二塁打と、途中から三塁に入り、昨年12月から左打ちにしたという8番・水成 柾斗内野手(3年)の中越え二塁打で1点差とし、9番・桑山 晄太郎投手(2年)はファウルで粘った後に、一、二塁間をゴロで破り、これで同点とした。こうして終盤で点を取り合って同点という展開になってタイブレークも意識していかなくてはならない流れとなった。いなべ総合は9回、無死一、二塁というまさにタイブレークのような場面を作ったが、津田学園は桑山投手がよく踏ん張った。こうしてタイブレークに突入していった。

6番からの津田学園は、1死満塁として8番・水成の中犠飛で何とか1点を奪う。

津田学園は、その背番号5の水成がマウンドに立った。5番からの、いなべ総合の攻撃を捕邪飛、三振、遊ゴロと3人で抑えて、自身がたたき出した1点を守り切る力投だった。

いなべ総合の尾崎監督は、「勝っとる試合を落としたということだね。7回は、バントで揺さぶるなどで、いい形で得点できたんだけれども…。8回に同点とされた場面、必要以上に牽制球を投げて、これで集中力を欠いて打たれてしまった。夏までには、いずれにしても投手をしっかりと作っていかないといけない」と、夏への目標を見据えていた。

津田学園の佐川監督は、「今年のテーマは、接戦をイメージして硲を切り抜けようということなのだけれども、そういう意味ではいい戦いができた。自分たちで言い合って決めていくという姿勢を保てた。三重県で一番熱い野球をする、いなべ総合に対して、それに負けるなという気持ちを表せたのもよかった」と選手たちの精神的成長を評価していた。また、タイブレークからは水成が登板したことについては、内野手なのでフィールディングがいいので、相手にバントをさせないため」と意図を語った。

意外にも、県大会というレベルで津田学園いなべ総合に勝ったのはこれが初めてだった。津田学園が勝ち上がっていた時には、いなべ総合は、別の相手に敗れていたというケースが多かったようである。

【トーナメント表】春季三重県大会 結果一覧

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この記事の執筆者: 手束 仁

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