試合レポート

開星vs松江商

2017.07.19

「ノーシード実力校対決」は開星が制す

 昨秋は8強に進出したものの、今春は初戦で立正大淞南にコールド負けを喫し、ノーシードで今夏に挑む開星。今季は目立った活躍は見せていないものの、直近10年で夏は4強進出以上が8回と抜群の安定感を誇り、正に「夏将軍」と言える開星。同じくノーシードながらエース右腕・飯塚を中心に力のある松江商を相手に注目の初戦を迎えることとなった。

 試合会場である松江市に所在する両校の対戦ということもあり、両校のOB・OGを中心に多くの観客が詰めかける中、注目の一戦の幕が開けた。
先攻・開星、後攻・松江商松江商はエース右腕・飯塚、開星は2年生の左腕・エース中村が先発。

 試合は序盤から動きを見せる。1回表、一死後、開星2番の杉本が四球で出塁し、続く3番葉田の二ゴロで進塁。二死二塁で迎えた4番上田が左中間を破る適時二塁打を放ち、開星が先制。
先制を許した松江商は直後の1回ウラ、1番米原が右中間を深々と破る三塁打で出塁し、続く2番大野がすかさず左前に適時打。2年生のリードオフマン・米原のチャンスメイクで松江商がすぐさま同点に追いつく。

 同点で迎えた3回表、開星は先頭の2番杉本が一塁線を破る痛烈な二塁打。続く3番葉田のニゴロで三塁へ。一死三塁で迎えた4番上田がスクイズ敢行。打球は投手方向へ転がり、松江商・飯塚が素早く捕手へ転送。タイミングはアウトだったが、捕手のミットからボールがこぼれ、スクイズ成功。第1打席で先制打を放った4番の意表を突くスクイズで開星が勝ち越しに成功した。

 


 追う展開となった松江商は3回ウラ、先頭の1番米原が二塁失策で出塁し、三塁まで進めるも後続が倒れ得点成らず。続く4回ウラは三者凡退と開星先発の中村の低めに決まる変化球に苦しめられる。

 5回表、開星は3番葉田から始まる好打順だったがあっさりと二死を献上。迎えた5番鎌谷の放った当たりはドライブのかかった難しい打球となり、左翼手・永田のグラブをかすめ、グラウンドを転々。鎌谷は二塁を陥れる。そして続く6番稲田が左前適時打。開星が欲しかった追加点を奪う。

 6回表、開星は先頭の8番柏井が三塁失策で出塁。9番中村のニゴロ、1番森山の三ゴロの間にそれぞれ進塁し、三塁へ。二死三塁で迎えた2番杉本が中前適時打を放ち、開星松江商を突き放す。
3点を追う松江商は6回ウラ、二死一二塁のチャンスを作り、7番上田、8番田村が二者連続の適時打。ここで開星ベンチは中村を諦め、右サイドスローの片原へ継投。代わった片原は9番永田を打ち取り、同点は許さず。

 1点差に詰め寄られた開星は8回表、二死後、この試合初打席の9番片原が7回から飯塚に代わりマウンドに上がった小山を捉え、左翼手の頭上を越える二塁打を放つ。二死二塁のチャンスで1番森山が左前適時打。再びリードを広げる。
さらに開星は9回表、一死後4番上田が右中間スタンドにソロ本塁打。主砲のバットから貴重な追加点を生み出した。

 9回裏、3点差を追う松江商は先頭の7番上田が左前打で出塁。その後三塁まで進めるも、片原が後続を断ち、ゲームセット。開星が6対3で初戦突破を果たした。
開星は6回途中からマウンドに上がった片原が被安打1の好救援。松江商の反撃ムードを見事に断ち切った。この試合先発の中村、今大会背番号20でベンチ入りの大型左腕・加納ら将来性豊かな2年生投手陣の影に隠れがちだった片原だが、最後の夏、「3年生の意地」が感じられる気迫溢れたピッチングで勝利を手繰り寄せた。

 敗れた松江商開星打線に真っ向勝負を見せたエース飯塚を中心に力のあるところを存分に見せてくれた。初回に三塁打を放ったリードオフマン・米原は2年生。鮮やかなバット捌きは秋以降も注目を集めそうだ。
初戦特有の固さは見られたものの、3年生右腕の好救援、二桁安打の攻撃力で初戦突破を果たした開星。ノーシードで挑む「逆襲の夏」を今大会期待したい。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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