立命館vs京都国際
上原広輔投手(立命館)
冬の成果を見せた春
1回、２回と再三走者を送るも、無得点に終わった京都国際。
1回、２回と完璧に抑え込まれながら、３回の初安打を足がかりに一気に６点を奪った立命館。
終盤にじりじりと京都国際が追い上げ、立命館ベンチには嫌なムードが漂っていたが、結果的には序盤の攻撃が試合を決めたと言っていい。
「楽に勝てないのがうちの野球なので…（苦笑）。５点ぐらいの勝負になる試合になると思っていましたが、まさか序盤で６点も取れるとは。流れからすると、終盤にあと２、３点は欲しかったですけれどね」と話した中村圭吾監督。
先発のマウンドに立ったのは、この春から背番号１をつけた２年生の上原広輔だった。この冬場の急成長で、昨秋、エース番号をつけていた坂戸奎太から１番を奪った。「正直、自分がエース番号なんて」と驚きを隠せなかったと振りかえるが、「この冬に磨いてきたストレートを武器に勝負したい」とマウンドに立った。
しかし、立ち上がりから球が走らず先頭打者にヒットを許し、２回にも連続安打を許すなどピンチを背負った。「最初は腕が思い切り振れていませんでした。でも３回以降は右打者へのインコースのストレートが徐々に決まり出して、自分のピッチングが出来るようになりました」と、３回は三者凡退、４回は連続四死球で満塁のピンチも冷静にゴロを打たせて、得点を許さなかった。
「上原はまだ手探りの状態なので、今日の出来でどうこう言えないが、（７回を投げて７安打３失点の内容で）何かを感じてくれたらいい。それで、今後に繋げてくれればと思います」と、指揮官は２年生エースにさらなる奮起を期待していた。
２安打を放った立命館の３番・山中元貴
一方、攻撃面はこの冬の鍛錬の成果を見せつけた内容だった。
昨秋は京都府２位で近畿大会に出場するも、初戦で天理（奈良）に延長10回、１－３で敗れた。
結果だけを見ると競った末の惜敗、と捉われがちだが「明らかに打てなかった。投手は踏ん張ったけれど、結果的に打線が援護出来なかった」と、指揮官は７安打１得点に封じ込められた打撃に課題を見据えた。
そのため、冬場の練習は体作りの走り込みと並行して、バットを振り込む時間に重きを置いた。
「５秒に１回スイング。これを100回繰り返すのを毎日５セット。プラス、自主的にティーバッティングもこなしてきたので、この冬はかなりバットを振り込んだ自負があります」（青木裕司主将）。
この日は、昨秋とガラッと打順を入れ替えただけでなく、長短打を含め13安打の猛攻を見せ、強打を誇る京都国際を寄せ付けなかった。
加えて、連係プレーを円滑に行うために内外野との対話の時間を多くし、自主的にミーティングを重ねてコミュニケーション作りにも取り組んできた。
「自分たちだけで１時間ぐらいミーティングしていることもよくあります。昨秋の負けから、自分たちは強くないと思って、一生懸命取り組んできた姿勢がプラスになっていると思います。まだまだ課題はありますが、勝ち進んでいっても、基本に戻ったプレーは忘れないようにしたいです」（中村監督）。
春の戦いで、立命館ナインは冬場に培った力を爆発させることができるのか。今後もその一戦、一戦に注目だ。
スターティングメンバー
【京都国際】
９佐田梨貴人、６吉田祐希、４森太一、２安田開、３古野一希、５小野木拓也、７榎並弘、８友松章斗、１山本幸一
【立命館】
２青木裕司、４中村弘佑、８山中元貴、５石原輝、７鯰江智輝、９佐藤博紀、３坊農治勇、１上原広輔、６西川真之介
(文＝沢井史)
