Column

「球数制限」の見地から明徳義塾vs藤蔭を分析すると……

2019.08.08

ボクシングに例えるならば「ジャブを打ち続けてのストレート」

「球数制限」の見地から明徳義塾vs藤蔭を分析すると…… | 高校野球ドットコム
左腕・林田 大成(明徳義塾)

 第101回全国高等学校野球選手権大会第3日目、第2試合では2年ぶりに20回目の夏聖地へと戻ってきた高知代表の明徳義塾が6対4で2年連続3度目の出場となった藤蔭(大分)の猛追をかわし、智辯和歌山(和歌山)が待つ2回戦への切符を手に入れました。

 今大会49出場校中最年長の63歳・馬淵 史郎はこれで春夏通じ甲子園51勝(春14回出場・19勝14敗、夏19回出場・32勝17敗)で歴代4位に浮上。今大会最年少となる26歳の藤蔭・竹下 大雅監督に対しても理詰めで勝利への方程式を編み出す執念は「流石」の一言です。

 それともう1つ、この試合は近未来に導入されるであろう「球数制限」の見地から分析しても実に興味深いデータが出てきました。

 まず見てほしいのは両校先発の球数。明徳義塾左腕・林田 大成(3年)が5回までに5者連続初球凡退を含む50球、最終的に5回3分の1・63球で降板したのに対し、藤蔭右腕の小宮 大明(3年)は1回から5回までの球数を並べてみると「10球・23球・25球・31球・12球」なんと合計101球を要してしまったのです。そして藤蔭は6回表に2番手投手が4失点。彼らにとって結果的にこれが痛手となり、その裏の反撃も届きませんでした。

 では、もう少し「101球」を細かく分析してみましょう。ここで気づくのは明徳義塾が「ただでは凡退しない」ということ。2回表は二死二塁から7番の今釘 勝(2年)が遊ゴロに倒れる前に10球を投げさせ、3回表は二死一塁から2番の正本 旭(3年)が実に13球を投げさせる粘り。そして4回表には一死一塁から5番・奥野 翔琉(2年)が8球目を捉えての先制右越三塁打。ボクシングに例えるならば「ジャブを打ち続けてのストレート」。これは相手にとって相当のダメージを与えるに十分でした。

 となれば「球数制限」が導入された際には、明徳義塾のような戦い方はますます効力を発揮するはず。「好き・嫌い」の論議は当然あるでしょうが、「明徳義塾の基本形」ともいえる試合運びは、、これからの高校野球のあり方に一石を投じるものであったことは間違いありません。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.24

秋田の組み合わせ決まる!明桜が初戦からいきなり金足農と対戦、初戦から秋春の王者対決【2024夏の甲子園】

2024.06.24

昨夏甲子園出場の文星芸大附の卒業生進路紹介!主力は上武大、国士舘大、東京農業大へ進学!

2024.06.24

夏の滋賀を盛り上げる23人の逸材を紹介!近畿屈指の大型遊撃手・岩井(滋賀学園)、名門・近江の大エース西山など投打に人材揃い

2024.06.24

【北北海道】北見支部では北見工が33得点の圧勝でコールド発進【2024夏の甲子園】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】